育児をする社長は社員の信頼を得る

1月25日の日経新聞夕刊「カジダンへの道」、青野慶久・サイボウズ社長の「家事・育児で社員の心つかむ」から。

・・・僕が家事や育児をしていることは、社員からの信頼を得るという意味でも貢献してるかもしれない。選択的夫婦別姓について訴えたときもそうだったが、特に結婚した女性からの反響が大きい。「この人は味方ではない」と思っていた人が味方に立ってくれたという感覚なのだろう。「社長なのに家事や育児をするパパ・ママの気持ちを分かってくれる」と認識してもらうことは、仕事上の武器になっていると思う。
社内のSNS(交流サイト)に「子どもが熱を出したのでお迎えに行きます」と書き込むと、親近感をもった社員から「青野さん頑張れ!」などと反応がある。狙ったわけではないが、働くパパやママが「共に戦う社長だ」と思ってくれるのはありがたい。

新型コロナウイルス禍で在宅勤務が増えたとき、社内で一部のパパ・ママから悲鳴が上がった。保育園も小学校も休業になり、小さい子どもがいる家庭では在宅勤務しようにもパフォーマンスが出せない。ビデオ会議をすると小さい子どもが走り回って邪魔するし、泣いたり、けんかしたりして辛いという悩みだ。
それを聞いて、「我が家も一緒だ。3人子どもがいて大変なことになっている。僕も全然パフォーマンス出せていないから、気にするな」と書き込んだら、「青野さん、分かってくれてる」と喜ばれた・・・

・・・サイボウズでは、「100人いたら100通りの働き方がある」という理念を掲げている。最長6年間の育児・介護休暇制度をはじめ、通学や副業のためといった個人の事情にも対応し、勤務時間や場所を決めることができる。
もともとは、離職率が高かったのを改善しようとして始めた取り組みで、仕事大好き人間の自分が利用するつもりはなかった。けれども、僕自身も子どもを持ち、仕事一辺倒では立ちゆかない環境になってしまった。子どもが生まれるたびに育児休暇をとり、今は在宅勤務をしながら家事や育児にも取り組む。この制度があって助かったと、後になって気づいた。

仕事人間だったころは「人生の幸せは野望をもって実現していくことだ」と思っていたが、家事・育児をするようになって意外に近くに幸せはあると気づいた。家事に取り組むことに抵抗のある男性はいまだに少なくないが、家事をやっておいたほうが、人間としての引き出しが増える。世の男性にも勧めたい・・・