年別アーカイブ:2021年

懐かしい本

2021年8月28日   岡本全勝

社会の意図した変化と意図しない変化」の続きにもなります。

3か月ほど前に、あることから、丸山真男先生が「自然と作為」を論じておられたことを思い出しました。まず、本棚から『日本政治思想史研究』(1952年、東京大学出版会)を引っ張り出しました。私の持っているのは、1973年発行の第19刷りです。活字も古い書体です。パラフィン紙がかかっていて、箱に入っています。当時の専門書は、そうだったですよね。
箱に、1200円と書かれています。現在は、3960円だそうです。1973年の大卒初任給は6万円余り。現在は20万円ですから、ほぼ同じように3倍以上になっています。

本棚からすぐに出てきたことを、褒めてやりたいです。
当時は、東大法学部生が読まなければならない本の一つでした。黄色い傍線が引かれています。ところどころにメモ用紙が挟まっていて、私の字で難しいラテン語などの意味が書いてありました。江戸時代の思想が対象で、知識のない当時は、悪戦苦闘した記憶があります。
今回読むと、内容はほとんど覚えていませんでしたが、比較的容易に読めました。

全体主義に回帰する中国

2021年8月28日   岡本全勝

8月19日の朝日新聞オピニオン欄、豊永郁子・早稲田大学教授の「習近平体制の本質 全体主義に回帰する中国」から。

・・・今や独裁の代名詞となった観がある権威主義だが、体制概念としての歴史は浅く、1964年に政治学者のホアン・リンスが提唱したのが始まりである。当時、独裁といえばヒトラーやスターリンの全体主義を意味したが、リンスは戦後も安定的に続くスペインのファシスト政権により穏健なタイプの独裁を見いだし、これを権威主義と名付けた。
権威主義は次の4点で全体主義と異なる。(1)経済的・社会的な多元主義、さらに限定された政治的多元主義が存在する(反対勢力が存在し得る)。(2)体系的で精緻なイデオロギーはないが、ある種の保守的な心理的傾向が支配する。(3)リーダーの権力は、明確に定義はされていないが予測可能な一定の範囲内で行使される。(4)政治的動員は弱く、政治的無関心が広く見られる。
右に照らせば、今日の習氏の体制は権威主義ではあり得ない。批判勢力は一掃され、起業家も文化人も市民団体も統制され、個々の市民も監視や動員を受ける。中国と習氏の偉大さを説くイデオロギーも誕生した。諸々のルールを吹き飛ばして自らの国家主席としての任期制限を撤廃した習氏は絶対的なリーダーに見える。バイデン政権が対峙しているのは「全体主義」中国ではないのか・・・

・・・では習体制は毛体制の再現となるのか。中国はもう共産主義経済ではないのでそれは違う。では何か。国家が掲げるイデオロギーには2種類ある。どの国にも採用可能な普遍的な理念やプログラムを掲げるものと、自国に固有の価値観や理想を掲げるものとだ。共産主義体制は前者を有したが、今日中国を導いているのは後者である。戦前戦中の日本のイデオロギーも後者であり、同盟国のドイツなどその危険性を極め尽くした。このタイプのイデオロギーを有する全体主義国家には特徴的な振る舞い(領土的野心の性質や人権侵害のあり方など)と陥りやすい陥穽(合理性の欠如や他国の反応の読み間違いなど)が存在する。これらについては日本とドイツの前例が多くのことを教えてくれる・・・

連載「公共を創る」第91回

2021年8月27日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第91回「社会の課題の変化―新たな課題対応のために生活省の設置を」が、発行されました。

この連載では、日本が経済成長に成功し成熟社会になったのに、社会の意識と仕組みが変わっていないことを主題の一つとしています。そのような視点で見ると、改革への取り組みは30 年は遅れています。

私は、「生活省」の設置を主張しています。それは、社会生活問題に本格的に取り組むためであり、行政の任務が大きく変わったことを明らかにするためにも必要だからです。先日の読売新聞でも話しました。「読売新聞に出ました「首相に直言 秘書官の役割」
各府省に散らばっている、国民の生活の悩みに関する部局を集めて、一つの省にするのです。「生活」と言っても広いですが、軸は、生活者、消費者、社会的弱者を守る施策です。そのような施策を任務としている課や局を統合して、一つの省をつくるのです。明治以来、省庁のほとんどが、生産者と提供者側に立っていました。それに対して、国民の生活側に立った省をつくるのです。
名称は「国民生活省」でもよいのですが、それでは定住外国人が外れることになります。あるいは「生活者省」「暮らし省」といった名称も考えられます。
対象と想定している部局は、次のようなものです。これらの組織あるいはその一部を、生活省に再編統合します。

(共生社会など)内閣府政策統括官(政策調整担当)のうち共生社会に関するもの、男女共同参画局、政策統括官(経済社会システム担当)のうち共助社会づくりに関するもの、関係する本部(子ども・子育て本部、子ども・若者育成支援推進本部、高齢社会対策会議、犯罪被害者等施策推進会議、子どもの貧困対策会議)
(消費者など)消費者庁。食品安全委員会
(家庭や子育て)厚生労働省子ども家庭局
(働き方)厚生労働省雇用環境・均等局、職業安定局、人材開発統括官、労働基準局
(社会的弱者)厚生労働省社会・援護局。法務省保護局、人権擁護局
(定住外国人)出入国在留管理庁在留管理支援部

暴力団の衰退

2021年8月27日   岡本全勝

8月20日の朝日新聞オピニオン欄「消えゆくヤクザ」から。
「暴力団対策法が成立して今年で30年。ピーク時で20万人近くいたとされる暴力団員は、3万人以下に減った。「ヤクザ」はこのまま消え去るのか。それは警察や社会の勝利なのか」

藪正孝・福岡県暴力追放運動推進センター専務理事の発言
・・・暴力団はかつて、義理と人情にあつい世界、といった肯定的なイメージで語られることがありました。しかし実態は、違法薬物の密売や特殊詐欺などを繰り返す「犯罪組織」であることは明らかです。社会に寄生し、市民社会から利益を不当に吸い上げていると言えます。
覚醒剤は、2019年に全国の押収量が過去最多の2トン超にのぼりました。特殊詐欺の被害額は、昨年1年間だけで約285億円。こうした犯罪の多くに暴力団が関係しており、犯罪収益が「上納金」として組に流れています。
また暴力団は、意に沿わない市民に、容赦なく暴力を振るいます。工藤会は「暴力団排除」を表明していたクラブに手榴弾を投げ込み、従業員ら12人に重軽傷を負わせました。山口組も放火で風俗店従業員3人を殺傷しています。
時に「ましなヤクザ」はいても、「いいヤクザ」などいない。彼らは最後は常に「暴力」なのです・・・

広末登・犯罪社会学者の発言
・・・ただ、新たな問題が表れています。10~18年の9年間で、暴力団を抜けた人は計5453人。そのうち就職者数は165人と約3%しかいません。暴力団離脱後の受け皿が社会にないのです。
たとえば各地の暴排条例には、離脱後も5年間は暴力団員とみなす「元暴5年条項」があり、銀行口座などを簡単には持てず、就職も容易ではありません。仕事がなければ家族を養えない。彼らは犯罪の技術やネットワークを持っているので、特殊詐欺や覚醒剤の密売といった違法行為に走ってしまう・・・
・・・暴力団員は、経済的困窮や家庭内暴力、ネグレクトといった境遇で育ったケースが多い。犯罪や非合法な行為が身近な環境で育ち、一般社会の適切な価値観に触れずに成長する場合も散見されます。なのに、そこから抜け出そうとしても、社会復帰の道は極めて険しい。ある人間が属性要件のみで排除される社会は健全とは言えません。
暴力団は弱体化しましたが、代わって「元暴アウトロー」や「半グレ」という別種の危険な存在が跋扈している。そんな裏社会のありようは、今の表社会の限界を示しているのかもしれません・・・

禁止し、罰を加えるだけでは、問題は終わりません。排除だけでなく、この人たちをどのように受け入れるかが重要なのです。

アサガオがたくさん咲きました。

2021年8月26日   岡本全勝

今年のアサガオは生育が遅く、最初に花が咲いたのが8月7日でした。
その後、ぽつぽつと咲いてはいたのですが、しばらく咲きませんでした。ようやく、小さなつぼみが、たくさんできました。

そして、先日からいくつも花を咲かせ始めました。赤や青の大きな花です。
去年と一昨年に取った種を撒いたので、貧弱になるかと思ったら、意外と大きかったです。
しばらく、楽しむことができそうです。めでたしめでたし。
でも、これからでは、子どもの夏休みの絵日記には間に合いませんね。