年別アーカイブ:2020年

バチが当たる、その2

2020年8月29日   岡本全勝

先日書いた「バチが当たる」。読者から、お便りをいただいたので、紹介します。ご意見の通りですね。
「今どきの子どもは・・・」と嘆く前に、私たち先輩が子どもたちに教えていないのです。文面は、少し改変してあります。

・・・近所の図書館の軒先に、毎年ツバメがたくさん巣を作り子育てをします。
夏休みのある日、子供たちが集まってなにやらワイワイ。一人の子供が長い棒を持ってきてどうやらツバメの巣に悪戯しようとしています。
っとその時、そばにいた別の子が「そんなんしたら、バチが当たるって、おじいちゃんが言うとったぞ!」と言って、悪戯はせずに別の場所に遊びに行ったようです。

そうだ。「バチが当たる」っていうのは、我々おじいちゃん世代が子供に言い聞かせ、賢い子供はそれを理解し、他の子供に伝えるという好循環が生まれる。
大げさに言えば、良い伝統が語り継がれるってことかな。我々おじいちゃん世代はもっと子供たちに「バチが当たるぞ!」と言い聞かせなければと思いました。・・・

太平洋戦争の戦没者

2020年8月28日   岡本全勝

8月22日の読売新聞解説欄、吉田裕・元一橋大学教授へのインタビュー「不条理伝える静かな怒り」から。

・・・アジア太平洋戦争の日本の戦没者は政府の推計で、軍人軍属約230万人、民間人約80万人です。
戦没者を網羅した公文書も死因を巡る公式統計もありません。1945年夏の敗戦時、軍も官も大量の公文書を焼却しました。
戦場の実相が本格的に解明されるのは90年代以降。歴史家らが戦記や部隊史、将兵の回想などを渉猟し、研究を重ねた成果です。

その特徴の第一は餓死の異様な多さです。
私の恩師藤原彰先生は亡くなる2年前、2001年刊行の「餓死した英霊たち」で、軍人軍属の戦没者の61%、約140万人が餓死、あるいは栄養失調に起因する病死、つまり広義の餓死と説きました。歴史家の秦郁彦氏は藤原説を過大としつつ、餓死率を37%と推定。「それにしても、内外の戦史に類を見ない異常な高率」と論じています。

第二は戦没の9割が日本の敗戦が決定的になる1944年以降に集中していること。その夏のマリアナ沖海戦で海軍機動部隊が壊滅し、サイパン島の守備隊が全滅。日本は制海権・制空権を失い、米軍は日本本土のほぼ全域を空爆の射程に捉えます。以後の日本の戦いは絶望的抗戦でした。
第三は海没死の多さ。艦船の沈没で約36万人の軍人軍属が溺死しました。日露戦争の日本軍の戦死者(約9万人)の4倍です。
第四は自殺と「処置」の多さ。過酷な行軍や激戦の末、あるいは飢餓と疫病の流行する退却の末に、自殺と処置が頻発した。処置とは自力で動けなくなった傷病兵を衛生兵らが殺すことです。「生きて虜囚の辱めを受けず」と諭す「戦陣訓」の帰結といえます。
戦場の現実は凄惨の極みでした・・・
この項続く

連載「公共を創る」執筆状況

2020年8月28日   岡本全勝

定例の、執筆状況報告です。
連載「公共を創る 新たな行政の役割」は、第3章1(2)「成熟社会の生き方は」の「その2」を右筆たちに手を入れてもらい、編集長に提出したのが7月31日。それを紙面の形にしてもらいました。すると、10月16日までできたのです。これで、一安心。

そこで、他の本に手を出し、執筆が進んでいません。この暑さですから、頭が回りません。冷房も入れるのですが、身体も頭も夏休み状態です。仕事で現地に行くと、熱中症もどきになりました。で、読書も進まず。まあ、夏はそんなものですわね。

しかし、時間はすぐに経ちます。あっという間に、8月も下旬になっていました。気を取り直して、執筆に取りかかりました。
「その3」は、平成時代に大きく変化した、あるいは変化を余儀なくされている個人の私生活です。それを、家族の形、もてあます時間、個人の信念と社会の道徳、などに分けて議論しようと考えています。
これらについては、だれもが、いろんなところで見聞きします。そして、調査や書物が出ています。それを、「公共を創る」観点から、どのように整理するか。断片的事実は知っているのですが、文章の形にするとなると、事実確認など労力が必要です。いつものように悩みながら、少しずつ書いています。

インターネットでの不適切広告削除

2020年8月27日   岡本全勝

NHKウエッブニュースが「ヤフー 掲載認めない広告件数 初公表 昨年度は2億件超」(8月24日掲載)を伝えていました。「ヤフーの公表

・・・IT大手のヤフーは広告の表現や画像が不適切だとしてサイトへの掲載を認めなかった数を初めて公表し、昨年度1年間で2億3000万件余りに上ったことを明らかにしました。
ヤフーは運営するさまざまなサイトで広告を掲載していますが、内容が不適切な場合は掲載を認めず、24時間態勢で審査しています。

社内の基準に沿って掲載を認めなかった表現や画像などの数をこのほど初めて公表し、昨年度1年間で2億3000万件余りに上りました。
このうち、肌の露出が多い画像など利用者に不快感を与えるとされた事例が17%を占め、次いで明確な根拠がないまま「世界初」や「No.1」などとうたい、誇大表示とされた事例が14%となっています。
また、医療機関の広告で、所在地が海外だったり連絡先などがなかったりした事例も5%ありました・・・

大変な労力がかかっているでしょう。でも、これも、インターネットサービス提供事業者の責務でしょうね。

コロナ危機への政権対応

2020年8月27日   岡本全勝

8月21日の日経新聞経済教室、谷口将紀・東京大学教授の「コロナ危機への政権対応 官邸主導の誤用、混乱招く」から。
・・・官邸主導とは、与党と官僚それぞれに対する首相のリーダーシップを意味する。もしかつての党高政低(与党の政府に対する優位)のままだったならば、族議員に押されて「お肉券」や「お魚券」が現実化したかもしれない。官僚主導が続いていたら、法務省の抵抗を前に、感染拡大国・地域に滞在歴のある外国人の入国拒否は遅れていただろう。むしろ官邸主導「にもかかわらず」、あるいは官邸主導の「誤用」に基づく不出来というほうが適切なように思われる。
筆者の見るところ、安倍政権の新型コロナ対応には3つのつまずきがある・・

第1に同じ危機対応でも自然災害のノウハウは蓄積されていたのと比べ、感染症対策については備えが不十分だった。
第2に政治決断にはやるあまり、専門的知見やエビデンス(証拠)に基づく政策決定を軽視するきらいがある。特に専門知識の活用方法、つまり有識者との役割分担に丁寧さを欠く。
第3にアベノミクス「3本の矢」を貫徹させられなかったツケだ・・・そして肝心のアベノミクス第3の矢、成長を軌道に乗せる社会経済構造改革については、少なくとも十分な成果を得られていない・・・