年別アーカイブ:2020年

肝冷斎復活か

2020年10月11日   岡本全勝

2週間近くも無断休載していた「肝冷斎日録」が、復活したようです。今回は、パソコンの不調でなく、庵主の事情のようです。野外調査も野球観戦も、していなかったと思われます。
再開第一号は、滅んだものを偲ぶという趣旨のものです。このような心境なのでしょうか。いずれにしろ、よかったです。

理想とする国、なりたくない国

2020年10月10日   岡本全勝

10月4日の読売新聞、岩井克人先生の「米中、いまや反理想郷の国」から。

・・・米中対立の時代です。私はコロナ禍を通じて歴史的と言える意識の変化が起きていると見ます。
まず米ソ対立の20世紀を振り返ります。1917年のロシア革命を経て社会主義・全体主義のソ連が出現した。一方で米国は第2次大戦後、資本主義・自由主義陣営の盟主に。米ソは冷戦に突入し、二つのイデオロギー、二つの政治経済体制が優劣を競い合った。米ソは共に人間の可能性を希求する国家でした。二つの希望の星でもあった。20世紀は二つのユートピア(理想郷)の争いでした。

89年にベルリンの壁が崩壊し、91年にソ連が解体して、社会主義は敗北します。米国の政治哲学者フランシス・フクヤマ氏は有名な著書「歴史の終わり」でイデオロギーの争いとしての歴史は終わり、世界は自由民主主義体制に収束すると予想したものです。冷戦後、米国流の市場任せの資本主義が世界標準になり、日本もその圧力をかなり受けました・・・

・・・さて目下の米中対立です。中国は発展途上国にとり成長モデルを提示する希望の星でした。コロナ禍で当初は発生源として非難を浴びましたが、強権的な仕組みを発動して感染を抑え込むと成功物語の主人公になる。しかし混乱に乗じて地政学的拡張や香港の締め付けなどの動きをとるに及んで、ディストピア(反理想郷)と見られるようになりました。
一方の米国は疫病にかかりやすい群に属したことに加えて、対処を誤り、感染者数も死者数も世界最多になってしまった。しかもトランプ大統領の下で国が南北戦争時代のように分断されてしまいました。米国もディストピアとして見られるようになったのです。
私は1969年から81年まで米国に暮らしました。こうした米国の没落ぶりはショックです。
21世紀は二つのディストピアの争いになりつつあるのです・・・

国民の期待値の低下

2020年10月9日   岡本全勝

安倍内閣の成長戦略評価」の続きです。

・・・それでも、多くの人がこの時代を「評価する」としているのは、長年にわたり一国のリーダーとして重責を担った首相が病で退任することへの同情があったのかもしれない。しかし、より本質的な理由は、バブル崩壊以来30年、数々の国難を経て、「日本人の経済・社会に対する期待値が下がってしまった」ということなのではないだろうか。
実際、賃金は上がらないと思っている若い人は多い。人口は減るし、日本はジリ貧だという感覚は、今や広く蔓延しているようだ。

こうした中で求められるのは、長期的な観点に立った経済政策である。コロナ対策も例外ではない。足元の対策だけでなく、長期を視野に入れねばならない。アベノミクスも、もともとは第3の矢「成長戦略」が本命だったはずなのに、矢は的に届かなかった。
規制改革がいかに社会を変えるかは、「ビザ要件の緩和」などにより外国人観光客が激増したことを見れば明らかだ。「働き方改革」「女性活躍」の旗もあるべき方向を示したが、残念ながら道半ばである・・・

前回引用した「成長戦略評価」は政府の業績評価であり、今回引用した「国民の期待値の低下」は国民の側の問題です。それぞれ大きな問題ですが、政府の業績は、担当者たちを代えれば改善できます。他方で、国民の意識の問題は、そう簡単に変えることができません。より困難な問題なのです。
私の連載「公共を創る」では、政府や行政の問題を議論する際に、このような国民の意識や社会の仕組みの側の変化と問題を取り上げています。

歩きスマホ実態調査

2020年10月9日   岡本全勝

歩きスマホの実態調査があることを、教えてもらいました。インターリスク総研のリサーチ・レター<2020 No.2> 「歩きスマホに関する実態と意識について~アンケート調査結果より」(2020年8月3日)。損害保険会社のシンクタンクが調査したのは、歩きスマホが通行の妨げとなるにとどまらず、死亡事故等重大事故の原因にもなっているからです。「報告書

この調査では、「歩きスマホ」とは、スマートフォンの画面を注視しながら歩いている(周囲が見えていない)状態のこです。画面を見ずに音楽を聴いたり、通話をしたりする(周囲が見えている)状態は除きます。

スマホ保持者の中で、歩きスマホを行う人が約60%、行わない人が約40%です。行う人の内訳は、ほぼ毎日が16%、週に数回が13%、急用など月に数回が30%です。
場所(複数回答)は、一般の歩道(横断歩道以外)73%、駅以外の建物内通路35%、駅のホーム32%、駅の構内(ホーム以外)26%、横断歩道15%です。危険な場所であると言われる「駅のホーム」や「横断歩道」での歩きスマホも結構あります。
自分が歩きスマホをしていて、または他人が歩きスマホをしていて、他人との接触経験のある人は30%を超えます。その中には、けがをした人、相手をけがさせた人、持ち物を壊した人、壊された人がいます。

歩きスマホを行う人のうち80%を超える人が、歩きスマホは「問題のある行為」だと認識しています。しかし、習慣化していてやめられない、多くの人が行っているから構わない、他人に迷惑をかけない自信があるから構わないと答えています。
スマホ保持者の中で、歩きスマホに対しペナルティの必要性を感じる人は、約90%です。

安倍内閣の成長戦略評価 

2020年10月8日   岡本全勝

10月4日の読売新聞1面「地球を読む」は、吉川洋・立正大学長の「アベノミクス後 成長戦略 矢は届かず」でした。

・・・読売新聞が9月上旬に行った世論調査では、安倍内閣の実績について、「大いに」と「多少は」を合わせて、実に74%の人が「評価する」と答えた。支持率も前回8月7~9日の37%から52%へと、15ポイントも上昇した。記事には「首相の辞任表明後、支持率が大幅に上昇するのは、過去の内閣と比べても異例だ」とのコメントが添えられていた。
アベノミクスの下で、日本経済の実績はどうだったのか。残された数字は、世論調査の結果と必ずしも平仄が合うものではない。 日本経済は、2012年11月を景気の「谷」としてその後「拡張期」に入った。その1か月後に誕生した第2次安倍内閣は、景気が上り坂に入ったその瞬間に誕生したのだから、こと経済に関する限り、運のよい内閣だったのである。

それでも、12年10~12月期から、新型コロナウイルスの感染が拡大する直前の19年10~12月期まで、7年間の実質国内総生産(GDP)成長率は年率平均0.9%と、1%に届かなかった。身近な個人消費の平均成長率は0.04%と、ほぼゼロ成長である。
同じ期間、世界的に経済の「長期停滞」が語られる中でも、米国の消費は平均2.7%伸びた。悪いと言われていた欧州連合(EU)でも消費は平均1.4%のペースで増えた。日本の消費ゼロ成長は、先進諸国の中で際立って悪い・・・
この項続く