NHK「 証言記録東日本大震災」

NHK総合テレビ、8月2日午前10時5分から「明日へつなげよう 証言記録東日本大震災」は「経営危機の瀬戸際を生き抜け~水産加工起死回生の策」でした。
・・・東北沿岸の基幹産業である水産加工業。国は震災後、工場や設備復旧のために前例のない企業への資金援助に踏みきった。しかし近年、資金繰りが行き詰まり倒産する会社が続出。補助金の運用面などでの問題が明らかになった。一方、補助金だけに頼らず、地域の企業が連携して商品開発や販路を開拓、徐々に効果を見せているプロジェクトもある。ポストコロナの時代にも通じる経営の知恵を石巻市の水産加工業者の復興から探る・・・

取り上げられたのは、グループ補助金と結の場です。
公共施設と住宅の再建だけでは、地域と住民の暮らしの復興はできない。産業とつながりの再建が必要だと考え、東日本大震災では、それまでにない支援策をとりました。中小企業グループ補助金もそうです。これまで、企業への災害復旧補助金はなかったのです。
ところが、施設設備を整えても、経営が回復しない事例もでてきました。事業再開までの間に、都会の売り場の棚を他の産地に奪われていたのです。これは、補助金では解決できない問題です。補助金を出せば、その期間は売れるでしょうが、補助金がなくなればダメになります。そこで、大企業から人とノウハウの支援をもらうことにしました。
それが、結の場です。この仕組みを考えてくれたのが、民間から復興庁に来てくれた職員たちです。

番組では、この二つを紹介するとともに、グループ補助金の限界・欠点も取り上げていました。初めてのことでもあり、現場の要望にすべて応えることができていなかったのです。いくつか修正しましたが。復旧を急ごうとすることの限界があります。反省して、次に進みましょう。
もう一つの問題は、企業の実態や現場を行政は十分に知らないのです。かつてに比べ、公務員が現場を見ること、意見交換をする機会が減っています。災害復旧だけでなく、多くの政策分野で問題になると思います。
この二つの政策が、現場でどのように受け入れられたかを丁寧に取材した、良い番組でした。役所は制度をつくるとその広報はするのですが、その結果についての評価は下手です。この番組は、復興庁にとっても、良い記録になります。

番組に登場した山本啓一朗君(NEC)から、見るようにと言われていたのですが。すみません、事前にお知らするのを怠っていました。2週間は、無料でオンデマンドで見ることができるようです。