授業時間は短縮できるか、2

授業時間は短縮できるか」の続きです。

阿部彩さん(東京都立大学教授)の発言
・・・私は、コロナ禍の前から「夏休みは絶対に短くするべきだ」と主張してきました。
決して「もっと勉強時間を確保すべきだ」という理由ではありません。長期の休みは、家庭間の格差が顕著に表れて、子どもたちの心身に大きな影響を及ぼすという理由からです。

いまは共働き世帯が主流なので、夏休みは一日中、留守番という子どももたくさんいます。親の経済状況によって旅行やスポーツ合宿といった体験ができるか、給食がなくても毎日きちんと栄養が取れるか、なども左右されます。
いまは虐待や貧困など様々な事情を抱える家庭が増えています。国や自治体は自治体ごとの格差や、学校単位で生まれた格差には敏感ですが、なぜか家庭間の格差には関心が低く、取り組みも不十分でした。

そんな行政の無関心さが響いたのが、今回のコロナ禍における一斉休校要請です。
苦しい状況にある家庭の支援に動いてきた居場所事業も軒並みストップしました。ドリルを買えたか、親が隣で学習指導ができたか、昼食を提供できたか……。いろいろな場面での経済格差が、休校の前と後で積み重なり、家庭間格差は確実に広がってしまったように思います。
私は、一斉休校は、家庭の事情に対する行政の無配慮から生じた「人災」だったと思います。被害者は「学校に行かない」という道しかなかった子どもたちです・・・

ここには、知識を学ぶという授業以外の、学校の機能が見えます。