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『明るい公務員講座 管理職のオキテ』書評2

2019年4月20日   岡本全勝

ブログ「自治体のツボ」4月16日が、拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』を取り上げてくれました。

・・・いまミドルクラスとされる人たちは本当に大変なのである。自分が若い時は結構な仕打ちを受けてきたのに、さて、いざ自分が権力をもったら強権発動を封じられる。部下に優しく接し、ひとりでも辞めさせないことが重要任務。もとより職場で暴力を振るうのはもってのほかだが、だれもなにも言わなくてもひとつの方向にむかって走るという会社の常識はいまや世間の非常識となり、家庭の事情や心の不調を持つ人のために気配りをしないといけない。働き方改革が強いる自己犠牲。ミドルはその真っただ中にいる・・・
という書き出しです。???と思うと、次のような指摘につながります。

・・・今回読んだ「管理職のオキテ」は公務員向けに働く気構えを平易に説いたものである。ターゲットは課長。役所や自治体の課長に向けてのメッセージが満載である。そのどれをとっても、実は民間企業にも当てはまる。上に書いたとおり、組織で苦労している全ミドル向けのマニュアルともいえる。「全公務員必読」とうたっているが、「団塊ジュニアのミドル必読」と書き換えてもいいのではないか・・・

・・・優秀な部下を持った上司は幸いである。しかし、いまやどこの組織もそんなエース級は少ないだろう。そうすると、いかに中間層の働き手をなだめすかし、ときに叱咤し、戦力に仕立て上げていくか。その技量が課長には求められるのだ。本書はそこを強調する。アリの世界はよく働く上位2割、中間の6割、働かない2割に分けられるそう。この6割への目配りが欠かせない。しかも、この6割、いつ下位2割に転落してもおかしくない。子育てなどでやむなくそうなる人も多い。難しい時代に入った・・・

ありがとうございます。私の伝えたかった要点を、簡潔にまとめていただいて。
この評者も、たぶん企業で管理職として苦労しておられるのでしょう。

AIは人に取って代わるか、3

2019年4月19日   岡本全勝

AIは人に取って代わるか、2」の続きです。
『明るい公務員講座 仕事の達人編』で、パソコンの導入が職員の仕事を増やしたと、指摘しました(P57~)。

パソコンの導入が、なぜ省力化にならなかったか。作業を分解してみましょう。
パソコンで文書を作り、印刷します。文書を作る過程では、「内容の案を考える」「文章を練る」「レイアウトを考える」「文書にする」の4段階があります。

このうち、印刷作業は簡単になりました。業者や専門職員に依頼しなくても、自分でその場で印刷できるのですから。
しかし、「内容の案を考える」「文章を練る」「レイアウトを考える」は、機械はやってくれません。職員の頭で考えなければなりません。ここは、パソコンを導入しても変わりません。

第4段階の「文書にする」は、手書きの案を活字にしたり、きれいな図表にすることは、パソコンを使えば同時にできます。これだけなら、省力化になったはずです。
なぜ、残業を増やす結果になったのか。
「レイアウトを考える」が、くせ者なのです。活字の大きさや書体をどうするかに悩みます。もっといけないのが、パワーポイントでの図や絵の作成です。この作業にはまってしまうのです。あっという間に時間が経ってしまいます。

結論。思考は機械化できない。作業は機械に任せることもできる。
そして、「レイアウトを考える」といった「思考」と「作業」が混在すると、労働強化になることもあります。

勉強会講師「災害時の悲しみと怒り」

2019年4月18日   岡本全勝

今日は、放課後に、官民中堅職員の勉強会に呼ばれて、話しに行ってきました。
話題は、「大震災の際の悲しみと怒りにどう対応するか」です。
これは、なかなか難しい題です。私は、被災現場にしょっちゅう行きましたが、現場に長くいたわけではありません。当事者でないので、悲しみと怒りは、本当のところはわかりません。
しかし、住民や市町村長から、話を聞いたり、突き上げを受けました。特に、原発事故について、被災者からの政府への怒りを受け止めることは、ずっと続けています。

これまで、その場その場でいろんなことを思ったのですが、じっくりと考えたことはありませんでした。「行政の外の話だろう」とです。
悲しみにくれる被災者を、どのように支援するのか。怒りを抑えられない被災者に、どのように対応するのか。「町の復興の3要素」に入っていない要素です。
もちろん、人の心に行政が立ち入ることは難しいです。参考「現代の宗教事情
行政への怒りにどう対応するかは、行政の課題そのものです。
今回、話をするために、論点を整理しました。すると、改めて、大きな課題であることに気づきました。いずれ、説明しましょう。

ところで、私が「仕事」をしている時間に、肝冷斎は、今日も神宮球場でお楽しみだったようです。

霞が関の民間出身者

2019年4月17日   岡本全勝

NHKウエッブニュース「霞が関のリアル」に「民間人がたくさんいる」という趣旨の記事があります。内閣人事局の調べでは、昨年は5,890人だそうです。12年前に比べて、2.5倍になっています。

民間出身者には、いくつかの型があります。
民間出身と言っても、
・企業に籍を残して来てもらう場合
・民間人を採用する場合
があります。

期間については、
・途中採用で終身雇用
・任期付き採用

業務については、
・専門業務(金融や法務の知識、インターネットのセキュリティ対策)。新人を育てるより、その能力を持っている人を雇う方が合理的です。
・期限が限られている組織や業務(復興庁、オリンピック準備)。業務が終わったら、やめてもらわないと行けません。

このような理由から、今後も民間出身者は増えるでしょう。自前で養成するより、ずっと合理的です。また、霞が関が閉じた世界にならないために、官僚たちが世間知らずにならないためにも、良いことだと思います。

ところが、次のような指摘もあります。企業から出向した佐藤さん(仮名)の場合です。
・・・「あまりに過酷で、体調を崩す人もいました。出向者の間では、『出向期間、残り○日間』とパソコンで残り日数を数えるなんてこともしていました。出向期間中、給与は国から支払われましたが、私の場合は月10万円ぐらい下がっていました。当時は独身だったのでまだよかったですが、家族がいたらどうするんだろうと思いましたね」
佐藤さんが2年余りの出向を終えて本社に戻ると、会社は元の給与との「差額」を補填(ほてん)しました。その額は500万円以上だったそうです・・・

そうなのです。金融庁や経産省などに、弁護士さんがたくさん、任期付きで採用されています。給料が激減するのだそうです。でも、「勉強になる」「箔がつく」「その後の仕事に役に立つ」などの理由で、3年程度を辛抱しているとのことです。
公務員の給料水準は民間企業に準拠しています。しかし、それは、全体での比較のようです。高度専門業務をしている企業の社員と、同等の仕事の公務員とは、同水準になっていないのです。公務員の給料が「平等」になっているからだと思います。
企業の社員と公務員との給与格差は、上に行くほどひどくなります。官民交流を進めていますが、管理職や50歳くらいだと、優秀な民間人は公務員になろうと思わないでしょう。よほど、犠牲的精神がない限り。
参考「次官・局長の報酬と社長・専務の報酬