国民の怒りが動かす政治

6月10日の朝日新聞別刷り特集は「怒りの正体」でした。その中から、「怒りは票になる 右翼も左翼も壮絶な「怒れる人々」の奪い合い」を紹介します。

・・・人びとの怒りをエネルギーにしようとする政治家。怒りは票になる。だがそれはうつろいやすい。左右の勢力が攻守所を変えるスペインやギリシャで、そんな怒りと政治の関係が見てとれる。

「今日の『怒れる人びと』は、極右の人びとなのかも知れない」。スペインの左派ポデモス系の前議員マノロ・モネレオ(68)は4月下旬、総選挙を前にそう話した。モネレオは元共産党幹部で、ポデモス党首のパブロ・イグレシアスも慕う。2011年5月、緊縮財政や体制に不満を募らせた若者らが首都マドリードの広場を占拠した「インディグナードス(怒れる者たち)」運動から14年のポデモス結成までを間近に見てきた人物だ。人びとの怒りはポデモス側にあったのではなかったのか?・・・

・・・移民排斥問題などで怒りや不満をあおるポピュリズムは右派の得意技だった。座視できなくなった左派も、若者や高齢者の怒りをすくい取り、一つの勢力にまとめて参加型の政治を促すことで民主主義を深化させようと戦術を転換している。政治理論家シャンタル・ムフが言う「左派ポピュリズム」だ。アプローチは異なるが、左右両派が人びとの怒りを奪い合う構図といえる・・・

民主政治が安定するのは、成長が続くとき、そして格差が広がらないときだけなのでしょうか。