5月19日の読売新聞、科学面「福島第一事故 防げた可能性…事故調」から。
・・・原子力発電所のテロ対策は、2001年9月に米国で起きた同時テロをきっかけに世界各地で強化された。しかし、日本は対応が遅れ、福島第一原発事故後の13年7月施行の新規制基準で、ようやくテロ対策施設の設置が義務付けられた。
米原子力規制委員会(NRC)は02年2月、米国の原子力事業者に対し、航空機の衝突や全電源喪失などへの対策を講じるよう求めた。これらの措置は、NRCの命令の項目名から「B5b」と呼ばれている。
福島第一原発事故についての国会事故調査委員会の報告書によると、当時の日本の規制機関「原子力安全・保安院」は、NRCからテロ対策強化の情報を得ていたものの、電力各社には伝えなかった。
報告書は保安院について、「海外からの知見の導入に対して消極的だった」と批判したうえで、「機微情報に配慮しつつ、必要な部分を電気事業者に伝え、対策を要求していれば、(福島第一原発)事故は防げた可能性がある」と指摘した。
元NRC委員長のニルス・ディアズ氏は11年10月の国際シンポジウムで、福島第一原発事故について、「もし日本でB5b型の安全性強化策を効果的かつタイムリーに実施していれば、事態は軽減されていたであろう」と述べた・・・