年別アーカイブ:2018年

慶應大学、公共政策論第11回目

2018年6月29日   岡本全勝

公共政策論も、第11回目。政府の役割に入りました。
まずは、これまでの政府が果たした役割と、条件が変わったことについてです。
戦後日本の経済社会の発展と、バブル後の停滞について、数字やグラフで説明しました。わかりやすいグラフを示したので、高度経済成長を経験していない学生にも、理解しやすかったと思います。それに加えて、私自身の体験を交えました。

戦後の日本は、経済発展に成功しました。キャッチアップ型の経済発展です。安くて勤勉な労働力と、先進国に学んだ最新鋭の技術とによってです。政府・自治体は、潤沢な税収で、サービスやインフラを作ることに邁進しました。そして、それに成功しました。
しかし、右肩上がりの時代は終わり、経済は長期停滞し、人口の減少と高齢化が進んでいます。バブルがはじけて25年以上たち、人口が減り始めて10年になります。社会が大きく変わり、政府の目標や役割が変わりました。ところが、いまだに「昭和の発想」にとらわれている人が多いようです。

平成10年代を境に、新入社員・公務員が変わったという人が多いです。その背景は、この日本の経済社会の変化だと、私は思います。
バブル崩壊が平成3年。平成10年代に社会人となった人たちは、日本経済が発展した時代を知らないのです。それまでに入った人たちは、いわば「昭和の人たち」です。
そうすると、私などが、日本社会や政治、経済を話す際に、戦後から始めることは、もう古いのでしょう。平成から始めても、30年の長さがあるのですから。

慶應大学、地方自治論Ⅰ第11回目

2018年6月29日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅰの第11回目の授業でした。
今回は、条例について説明しました。条例の法的位置づけとともに、具体事例をたくさん見てもらいました。
地方公務員でない限り、具体の条例を見ることはないでしょう。それを知らずに、制度論をしても、理解しにくいですよね。かつては、法律との関係、横出しと上乗せが大きな論点だったのですが。
今回は、民泊法と条例、受動喫煙防止法案と都の条例(成立したばかりです)を例に、説明しました。また、これまで自治体が国に先導した政策なども。たくさんの事例に、学生たちもびっくりしたようです。

日経新聞夕刊コラム第25回

2018年6月28日   岡本全勝

日経新聞夕刊コラム第25回(最終回)、「人間修養道場」が載りました。

世間知らずというか、甘やかされたというか。若いときは「たいがいのことは、自分の思い通りになる」と思っていました。母親も近所のおばさんたちも、先生たちも、みんな大事にしてくれました。で、キョーコさんとの新婚生活は、ショックでした。
その後、家庭と職場の両方で経験を積んで、褒めること、頭を下げることを覚えました。なぜ、もっと早く気づかなかったのでしょう。反省。

「職場は人間修養道場だ」と、教えてくださった先輩に感謝します。
私が経験で得た知識は、『明るい公務員講座』と『明るい公務員講座 仕事の達人編』に書きました。皆さん、経験して学ぶことなのですよね。でも、そんな簡単なことは、それが基本なのですが、本には書かれていません。

25回の連載を、どのような形で締めようかと考え、この話を最後に持ってきました。キョーコさんは、合計3回登場しました。この項続く

アメリカ大統領の権限と限界

2018年6月28日   岡本全勝

東京財団政策研究所監修 『アメリカ大統領の権限とその限界 トランプ大統領はどこまでできるか』(2018年、日本評論社)を紹介します。

編者でもある久保文明先生が、解説を書いておられます。「トランプ大統領はどこまでできるか」。
これまでの大統領や、アメリカのエスタブリッシュメントの伝統的考え方とは、極めて異なった政策を打ち出すトランプ大統領。彼は、どこまで変えることができるのか。その権限の限界は何か。極めて示唆に富む研究です。そして、大統領の権限の限界に挑むのは、トランプ大統領が初めてではないのです。

さて、アメリカ大統領については、本書を読んでいただくとして。日本の場合はどうか。制度的限界と、運営での限界をあわせて、分析する必要があります。
かつて、日本の首相は権限が弱いので、大統領のように直接公選にすべきだとの主張がありました。これは、全くの誤解です。
議会と行政の長が別々の選挙で選ばれる二元代表制と、議会が行政の長を選ぶ議院内閣制と。後者なら、必ず議会の多数派が行政の長になるのですから、議会運営には苦労しません。参議院が少数与党になる「ねじれ」の場合が、困りますが。アメリカの大統領制は、議会の多数派と大統領が同一会派になるとは限りません。大統領の方が首相より、議会運営に苦労する可能性が大きいのです。

なぜ、かつては、日本の首相は「弱い」と考えられたか。それは、制度ではなく、運営によってです。党首として選んでくれた与党議員との関係です。
首相は、ねじれ国会や野党と議席数が接近している場合を除いて、野党との関係では苦労しません。与党議員が、首相=党首の座を揺るがすことで、苦労するのです。
安倍首相について、第一次政権と今の第二次政権とでは、制度は何も変わっていません。今の政権は、与党の中での力関係が、安定した政権を作っています。

首相は、どこまで自由に決めることができるか。これは、難しい問題です。
まず、制度的に、一人で決めることができないことがあります。例えば、金利については、日銀が所管してます。日銀総裁が首相と足並みをそろえれば、首相の意図が通ります。裁判所も、最高裁判所判事たちが首相と同じ考えなら、それに沿った判決が出ますが、常にそうなるとは保証の限りではありません。
そして、もっと難しいのが、与党や国民の「支持」です。支持があれば、困難と思われる政策も実現することができます。小泉首相の郵政民営化です。他方で、支持が弱く政権が弱いと、思ったようには政策を実現することはできません。
社員は社長の部下であり、公務員も上司の部下です。部下は、上司の言うことを聞かなければなりません。しかし、党員や国民は、首相の部下ではありません。選んでくれた人・選んでくれる人たちなので、その支持が重要なのです。
この指示は、日々刻々と変わります。世論調査がしばしば行われるゆえんです。

ビジネスマンの服装

2018年6月27日   岡本全勝

6月24日の日経新聞スタイル欄、岡藤正広・伊藤忠商事会長の「強いモンとケンカせえ」は勉強になりました。本文を読んでいただくとして、もう一つ興味深いのは、そこで紹介されている「満杯のクローゼット」です。

まあすごい着道楽です。もちろん、商売柄、ファッションに気を配ることは当然でしょうが。
・・・スーツは毎年、春夏モノと秋冬モノを各10着はつくる・・靴は革靴だけで100足以上・・・とのことです。

日経新聞のウエッブサイトを検索したら、岡藤会長の服装に関する話として、次のような記事もありました。こちらも、参考になります。
ニッポンのビジネスマン、なんで服に関心ないんやろ」(2017年5月17日)
世の中すべてがファッションや 感度を高め人生豊かに」(2017年5月24日)

その中に、次のような話も載っています。
「毎日の装いはご自分で選ばれているのですか」という問に、「それはそうやろ、誰が選ぶんや(笑)」

私も日経新聞夕刊コラム3月29日付の「帽子」で、男性の仕事服について苦言を呈しました。私の場合は、岡藤会長ほどにはセンスがないので、キョーコさんに選んでもらっていますが。