日経新聞夕刊コラム第16回

日経新聞夕刊コラム第16回「未来との対話」が載りました。今回は官僚らしく、日本の行政論について書きました。もっとも、夕刊のコラムですから、そんな難しい話ではありません。また最近のニュースになっている「事件」についてではなく、もう少し長い時間で考えていることを書きました。

「歴史とは現在と過去との対話である」は、E・H・カー著『歴史とは何か』(邦訳1962年、岩波新書)に出てきます。よく引用される文章です。
「歴史とは現在と過去との絶え間ない対話である」
An unending dialogue between the present and the past.

歴史は機械仕掛けのように進むものではなく、そこに人間の営み・作為が反映されます。社会と暮らしを良くするのか、あるいは悪くするのか。過去は変えることができませんが、現在と未来は変えることができます。
歴史を見る際にも、カーが言うように、客観的事実の羅列でなく、現在の私たちの問題関心に立って、過去を切り取ります。
すると、重要なのは、「現在の問題は何か」「良い点と悪い点は何か。良い点はどのようにしてできたのか、悪い点はどのようにして改良すべきか」を考えることです。それは政治の役割、政治家の役割ですが、それを考えて支えるのが官僚の役割です。

今回のコラムは、社会を良くすることを考えるという官僚の任務、成功した「近代国家形成、豊かな社会実現」、現在の官僚の自信喪失、これからの課題への取り組みの「未来との対話」、具体的例としての「国民生活省構想」を盛り込みました。少々、欲張りすぎましたかね。
国民生活省構想は、何度か書いたことがあります(2012年9月18日の記事)。