年別アーカイブ:2017年

『地方財政改革の検証』

2017年4月20日   岡本全勝

橋本恭之・関西大学教授が『地方財政改革の検証』(2017年、清文社)を出版されました。
2000年代に「三位一体の改革」と呼ばれる、地方税財政の大きな改革が行われました。国庫補助負担金の廃止削減、国から地方への税源移譲、地方交付税の見直しの3つです。3つの改革を一緒に行うことから、「三位一体の改革」と呼ばれました。このホームページでも、詳しく「実況中継」しました。もう15年も経つのですね。

この本では、「地方税改革」「地方交付税改革」「国庫支出金改革」「財政再建」の4部構成で、三位一体改革やその他の改革について検証しています。
本格的な「改革の検証」は、これが初めてではないでしょうか。政治家も役人も、「やったやった」と言いますが、その検証は十分にはされないようです。国会でも、予算委員会は花形なのに、決算委員会はそれほどでもありません。マスコミも、先生が「はしがき」で書いておられるとおりです。
と思って読んでいたら、私の名前まで出していただきました。恐縮です。

被災者の生活支援

2017年4月20日   岡本全勝

復興庁は、被災者を支援するために、いくつもの事業を、自治体やNPOと行っています。今年度の事業について、それらの団体に国費を配りました。
この「被災者支援総合交付金」は、これまで現場の要望を受け新しく作ってきた事業への支援をまとめたものです。そこで名前を「総合交付金」としてあります。

どのような支援をしているか、資料(p4以下)を見てください。生活相談員による見守り、困りごと相談、コミュニティつくりの支援、被災者が活動できる場つくり(心の復興)など、本当に身の回りのことです。
これまで、行政では取り組んでいなかった分野ですが、避難生活が長引くこと、また帰還しても新しくコミュニティをつくらなければならないことから、このような支援に乗り出しました。
国には担当する省庁がないので、復興庁が行っています。

明るい公務員講座・中級編21

2017年4月19日   岡本全勝

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第21回「部下の指導(5)職員評価から逃げるな」が発行されました。
職員評価は、面倒ですよね。また、部下に厳しい評価をつけることは、つらいですよね。しかし、この作業は管理職として、重要な仕事です。
期首の自己申告と面談は、上司と部下が、仕事の優先順位や進め方について意見を交換できる良い機会です。私も部下の自己申告を見て、「その仕事はより重要なものがあるよ」と、指導したことがあります。
また、あなたが上司にする自己申告は、あなたの課の仕事の全体像、優先順位を表したものです。それを部下に割り振るのですから、それがないと、部下の仕事の優先順位は決まらないはずです。
期末の職員評価は、嫌なものですね。できれば穏便に、全員にAかBをつけたいと思うでしょう。でも、あなたの温情は、あなたの意図に反して、とんでもない悪い結果を招きます。今回の内容は、次の通り。
期首の面談、あなたもする自己申告、あなたの自己申告が課の仕事の起点、職員を評価する、良い点を評価しよう、人事評価への不満を減らす。

慶應大学、公共政策論第2回目

2017年4月19日   岡本全勝

今日は、慶応大学で公共政策論の第2回目の授業でした。
まず、新聞を読むことと読み方のコツについて、続いて本を読むことについて助言しました。
また、本や授業では過去の歴史を学ぶことはできても、近過去、例えばこの20年間の政治や経済の出来事や変化は学ぶことができないことを話しました。先日このページで紹介した、「日米経済摩擦の歴史」も、今日書いた「日本の社会システムの改革」もそうです。私の授業で、そしてこのホームページでは、近年の日本社会の変化をお教えしたいと思っています。
授業で紹介した、アメリカ白人(下層)の実態を書いた本は、J.D.ヴァンス著『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(2017年、光文社)です。滝田洋一・日経新聞編集委員の本は、『世界経済大乱 』(2016年、日経新書プレミアシリーズ) 、『世界経済 まさかの時代』(2016年、日経新書プレミアシリーズ)です。

次に「公共政策論とは何か」を話したあと、東日本大震災での政府の対応に入りました。まずは、パワーポイントで当時の写真を見てもらいながら、政府はそして私は何をしたかを話しました。といっても、まだほんの最初だけです。次回以降、より詳しくお話しします。

出席カードは63枚提出されました。感想や質問を書いてもらうのですが、それぞれに的を射たことが書かれていて、読んでいてうれしいです。私が関心を持って欲しいことに反応してくれる学生とともに、「こんなことにも興味を持っているんだ」と気づかされることもあります。次回以降の授業で、それらについて触れましょう。

日本の社会システムの改革

2017年4月19日   岡本全勝

4月18日の日経新聞「東電改革、何が必要か」で、冨山和彦さんが、次のように述べておられます。
・・・国鉄の分割・民営化から今年はちょうど30年だ。この30年間は日本の停滞期で、高度経済成長を支えたシステムが次々に耐用期限を迎えてきた。国鉄やNTTの民営化、金融制度改革、そして電力改革と農業改革が恐らく最後の産業社会システムの転換点になる。大手製造業など日本企業が経験してきたことだが、東電の形もこれまでと大きく変わることになるだろう。
6月の株主総会で東電の社外取締役に就く。日本航空の再生にも携わったが、東電との共通点は多い。ともに規制に守られた独占企業で、顧客より監督官庁や政界、経済界の方を向いて仕事をしてきたという点だ。
それが競争を意識しなければならない時代に変わった。かつての東電からすれば、コペルニクス的転回だろう・・・

「この30年間は日本の停滞期で、高度経済成長を支えたシステムが次々に耐用期限を迎えてきた」という見方に同感です。それは、ここに挙げられた企業や経営モデルだけでなく、政治行政を含めた日本社会の転換点でした。
日本の成功の大きな要因は、明治維新以来の西欧をお手本とした追いつけ追い越せ主義、戦後の国内という守られた範囲での競争でした。この国内条件とともに、アジア各国が追いかけてこないという国際条件の下で、経済成長、安定した社会をつくることに成功しました。
しかし、西欧に追いついたとき、国際化の波にのまれたとき、アジアが追いかけてきたときに、これらの条件はなくなったのです。
それに適応するための改革に、時間がかかりました。金融自由化で金融制度改革が必要になりました。独占企業であると思われていた、国鉄、電電公社とともに、電力会社も競争の世界に入ったのです。
また、まだ改革途中のものもあります。その一つが政治と行政であると、私は考えています。