秋の美術館巡り

今年の秋も、たくさんの美術展が開かれています。先日の運慶展に続き、いくつかを見てきました。

東京芸大美術館では、「皇室の彩 百年前の文化プロジェクト」を開いています。
「およそ 100 年前。大正から昭和最初期の頃に、皇室の方々の御成婚や御即位などの御祝いのために、当代選りすぐりの美術工芸家たちが技術の粋を尽くして献上品を制作しました。中には、大勢の作家たちが関わった国家規模の文化プロジェクトがありましたが、今日ではそれを知る者がほとんどいなくなっています。いったん献上されたそれら美術工芸品は、宮殿などに飾り置かれていたために、一般の人々の目に触れる機会が極めて限られてきたからです」。
ということで、めったに見ることができない、優れた美術工芸品です。先日見た超絶技巧と言い、このような工芸品を作る、そして技を伝えるには、それだけのスポンサー、パトロンが必要ですね。

東京都美術館では、「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」をやっています。ゴッホがここまで、浮世絵を「写していた」とは。彼が浮世絵に心酔したとともに、日本人にゴッホファンが多かったのですね。
国立西洋美術館では、「北斎とジャポニスム―HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」を開催しています。これは、見ると驚きます。北斎の意匠や構図から取った、洋画が並んでいます。「なんや、まねしただけや」。いまなら、著作権の侵害でしょうが。
ゴッホだけでなく、たくさんの画家が、影響を受けています。

この2つの展覧会を見ると、日本画が西洋画壇に与えた衝撃は大きかったのですね。しかし、これだけ西洋に影響を与えつつ、日本では、北斎や浮世絵を受け継ぐ後継者たちが出てこなかったのでしょうか。明治画壇は、それよりも洋画を学ぶことを優先したようです。それを鑑賞する日本社会も、西洋を憧れたからでしょう。

どれもお勧めです。近接しているので、1日で巡ることができます。でも、1日で3つ見るのは疲れます。お勧めではありません。