ミャンマーの民主化

2月17日の朝日新聞オピニオン欄はテインセイン・ミャンマー前大統領のインタビュー「軍政に幕を引く」でした。詳しくは原文を読んでいただくとして。
軍事政権を平和裏に民政に移管しました。2003年に、軍事政権が民主化への行程表を発表し、憲法策定のための国民会議の再開、憲法の基本方針の審議、憲法草案の起草、国民投票、総選挙実施、国会召集、大統領選出の道筋を示しました。民主化には紆余曲折があり、2016年に、アウンサンスーチー氏率いる野党に政権を渡しました。
インタビューでは、民主化の前提として経済発展を進めたことが述べられています。
・・・ただ、すぐに民主主義体制になる、というわけにはいきません。経済面で課題がありました。車道もない、橋もない、教育施設もない。インフラが貧弱ななかでは、民主化はすぐには達成できません。まず経済を発展させ、インフラを整え、教育を立て直すことが必要だったのです。
「経済の基礎がなければ民主化が進まないと考えていた、と?」
・・・そうです。だから、まずはインフラを整え、経済を発展させる必要があると思っていました。
経済を立て直し、教育も推進するため、2003年にロードマップ(行程表)7点を策定しました。それをステップ・バイ・ステップで進行させていったのです・・・
・・・繰り返しになりますが、民主化の移行のためには基本的に必要な『土台』があります。経済発展です。経済がしっかりしないまま民主化に突き進み、失敗した例は海外にたくさんあるではないですか。橋や道路、大学を整えるのには時間が必要だったのです・・・

国づくりを進める際の、苦労がでています。指摘されているように、民主化だけを進めても、国民の不満が出て政情が不安定になった例は、最近のイスラム圏にも見られます。経済、インフラ、教育などを整える必要があります。いろいろな問題があることを認めつつも、暴動や流血なしに民主化した例、軍政幹部が指導して民主化した例として、高く評価されるべきだと思います。