年別アーカイブ:2016年

現在の官僚像

2016年9月6日   岡本全勝

日経新聞9月4日「春秋」欄が、興味深いです。
・・・この夏公開されヒット中のゴジラ映画最新作「シン・ゴジラ」。大人の足を映画館に運ばせた裏に、怪獣映画にしては珍しい設定がある。ふつう巨大生物を迎え撃つ役回りは軍人か天才科学者。しかし今作では、若手の政治家や官僚ら背広姿の集団が主役を務めるのだ。
会議の手配、根回し、コピー機の搬入、徹夜の資料作り。取材を重ねた描写は細かい。首相官邸の中をのぞき見するような面白さもある。加えて怪獣との最終決戦では、詳しくは書けないが、軍事力ではなく民間企業が持つ技術力や生産能力、設備が重要な役割を果たす。それらを動員できたのも官僚の力という筋書きだ・・・
続きは原文をお読みください。

板倉神社例大祭

2016年9月4日   岡本全勝

今日は、板倉神社の例大祭に参列しました。板倉神社は、福島藩主板倉氏を祀った神社で、福島城内にありました。今は、福島県庁本館の東隣にあります。今の県庁が福島城跡ですが、戊辰戦争の時に賊軍となり、お城は新政府に破却されました。県庁裏に土塁の一部が残っています。神社の場所は、かつては御殿のお庭だったようです。すぐ下を阿武隈川が流れ、眺めの良い庭園だったでしょうね。
第20代板倉家当主が自治省の先輩で、そのご縁で呼んでいただきました。明治維新(廃藩置県、版籍奉還など)から150年、戦後改革(華族制度廃止、財産税など)から70年が経ちますが、旧幕時代のつながりが続いているのですね。
板倉神社社殿は、大震災で大きく壊れましたが、立派に再建されています。県庁近くに行かれたら、ぜひお寄りください。

アメリカの古書店

2016年9月4日   岡本全勝

先日本屋を覗いたとき、何かのテーマ展示で見つけ、気になったので、買いました。「まあ、読まないだろうけどなあ」と思いつつ。寝床と新幹線で、一気に読みました。面白いです。お勧めです
ローレンス&ナンシー・ゴールドストーン著「古書店巡りは夫婦で」(邦訳1999年、早川ノンフィクション文庫)です。
夫婦の作家が、古書集めに引き込まれるお話しです。初版本を中心に、ただし高価なものは選ばない。そのあたりが、私たちも「ついて」行けます。ピーター・メイルの「南仏プロバンスもの」の路線と言ってよいでしょうか。表紙も、それに近いです。
古書を知ろうとしたら、古書店事情とか古書の手引きなどの概説書やハウツー本の方が手っ取り早く、全体を知ることができるのでしょう。しかし、門外漢にとっては、生身の人間それも素人が苦労しながらその世界に入っていく小説(ノンフィクション)がわかりやすいですね。ノーベル賞級の研究の概説書より、その先生の回想録の方が取っつきやすく、わかりやすいのと同じでしょう。
もっとも、出てくる古書のいくつかは、ディケンズ、マークトウェインなど私にもわかるのですが、知らない作家が多く、またアメリカの古書店はちんぷんかんぷんです。アメリカの古書業界の事情がよくわかります。結構面白いですよ。インターネットが発達した現在は、少し変わっているかもしれません。
さて、そこは本を読んでいただくとして。本筋とは異なり、気になったか所を、備忘録として書いておきます。
・・・(古書店の)キャビネットの側面は鉛筆のようなかたちをしていた。二本の鉛筆には、それぞれ2B or Not 2Bと彫ってあった・・・p272
もちろん、シェイクスピアのハムレットの名文句、To be or not to be のもじりです。
離れて住む93歳の父親(?)と電話での会話から。
・・・わたしにとって最高のたのしみは、毎朝、仕立てのいいスーツに着替えることだな。サミュエル・ジョンソン博士いわく、衣服は人を作る。その言葉はたぶん正しいと思うよ、うん。だから、わたしは毎朝スーツに着替える。もう耳にたこができているかもしれないが、世の中には朝食の席に半ズボンで出てきたり、シャワーも浴びずに出てきても平気な人間がいる。それがまちがいというつもりはないが、ナンシー、きみならわかってくれるだろう。なによりも最高なのは、早起きをして、さっぱりした体になり、ドレスシャツとシルクのタイと仕立てのいいスーツに着替え、すてきな朝食をとること。量はさほど多くなく、コーヒーとオレンジ・ジュースとバターを塗ったトースト、それに卵をひとつ。食事のあと、ゆっくりと腰をおちつけて、ウィンストン・チャーチルの本を読む・・・p15

社会の課題に取り組むNPO

2016年9月3日   岡本全勝

日経新聞9月2日夕刊「パーソン」は、河野俊記者の「社会起業家が新公益連盟、分野の枠超え政策提言」でした。
・・・子どもや女性の支援、災害復興、地域活性化など社会が抱える課題の最前線で奮闘する、NPOの代表など社会起業家が「新公益連盟」を結成した。分野の枠を超えた政策提言や経営・人材育成のノウハウ共有を狙う。東日本大震災を機に社会貢献への関心は高まった。ただ個々の活動だけで社会を変えるには限界がある。そんな危機感を胸に、志を同じくする人たちが続々と集まった・・・
大震災の被災者支援、被災地の復興に際し、NPOは大きな貢献をしてくれました。拙著「復興が日本を変える」で紹介したとおりです。社会でもだんだんと認知されつつあります。
課題は、被災地だけでなく全国に広げること。被災者支援だけでなく、その他の社会の課題解決に広げることです。社会でもっと認知してもらうことです。参考、「復興がつくった新しい行政」の図3。
他方で、行政とどのように連携するかが課題です。社会の課題を解決するのが行政の任務であり、地域の課題を解決するのが市町村役場の任務です。私は、市町村役場に、「地域の課題解決のためのNPOとの連携窓口課」を作るのが一つの方法だと考えています。
河野記者、良い紹介をしてくれて、ありがとう。

日本の革新勢力がリベラルだという誤解

2016年9月3日   岡本全勝

読売新聞8月30日「リベラルとは何か」、井上達夫・東大教授の発言から。
・・・リベラリズムは歴史的に啓蒙と寛容の伝統に根ざす。その哲学的基礎は単なる自由ではなく、「他者に対する公正さ」という意味での正義の理念だと私は考える。自分の政敵に対してもフェアに振る舞うことで、政治社会を暴力的な無秩序の状態ではなく、言論と言論が戦う世界にすることだ。かつての革新が名乗る今のリベラリズムはリベラリズムに背反している。その典型が「護憲派リベラル」だ。
リベラリズムは、対立する諸勢力がフェアな政治的競争のルールを互いに守る姿勢の中に、法の支配や、憲法で権力を統制する立憲主義の基礎を求める。
ところが、護憲派リベラルは、自分たちの特定の安全保障政策を政敵に押しつける道具に立憲主義を利用している。専守防衛ならば自衛隊・日米安保条約は合憲だとする解釈改憲や、違憲だけど容認するというご都合主義に居直っている・・・
・・・9条改正の是非を「リベラル対保守」の対立と結びつけるのは的外れだ。
憲法に盛り込むものは、統治構造と基本的人権の保障だ。一方、非武装中立で行くか、個別的自衛権にとどまるか、集団的自衛権へ行くか、などは安全保障政策の問題であって、特定少数者の人権と関係ない。政策論争の問題だ。
ただし、国民の無責任な好戦的衝動や政治的無関心から、政府が危険な軍事行動に走らないよう、戦力統制規範を憲法に盛り込むべきだ・・・最低限、軍隊の文民統制と、武力行使に対する国会の事前承認は憲法で明定すべきだ。この最低限の戦力統制規範すら現憲法が欠くのは、9条により、戦力が存在しない建前になっているからだ。「9条が戦力を縛っている」は護憲派のうそ。9条のため憲法は戦力統制ができない・・・
佐伯啓思・京大名誉教授の発言から。
・・・日本では戦後、歴史と伝統の一貫性を強調しつつ、現実には日米同盟を中心に国益の実現を目指す保守と、社会主義に共感しながら労働者階級の利益を目指す革新が対立した。自由より社会主義を目指す点で、革新はリベラルとはいえない。米国型リベラルが重視した福祉や平等を現実に実現したのは自民党だ・・・
原文をお読みください。