三位一体改革の基本解説4

4 地域間格差はどうするのですか
(1)差がつく仕事、つけない仕事
事務の種類を、2つに分けて考えるべきでしょう。
義務教育・保育・生活保護・介護・警察・消防といったサービスは、日本中で最低限は保障すべきものです。国家として国民に「ナショナル・ミニマム」を保障すべきでしょう。これらについては、法令で地方団体が守るべき最低基準を義務付け、財源も保障します(国庫補助金でなく地方交付税でできます)。
もちろん、その基準以上に、各団体がサービスを上乗せするのは自由です。
その他の事務、例えば、公共事業・産業振興・内部事務費などは、それぞれの地域で自由に競争して良いと思います。一定額の財源を保障すれば、その中で工夫してください。
(2)国庫補助金が廃止された場合、それと同等の税収が増えない団体はどうしますか
日本全国で、廃止補助金額と税源移譲額を同額としても、各団体事にはでこぼこが生じます。これについては、税源移譲の際になるべく差がつかない方法を考えています。それでも差がでる分は、地方交付税で調整します。
【第3部:税源移譲】
国から地方への税源移譲って何ですか
(地方には財源が必要)
国庫補助金を廃止するだけでは、地方団体は困ります。仕事はなくならないのですから。それに見合うお金が必要です。
そのためには、地方税を増税する、または地方が自由に使えるお金(地方交付税、あるいは使途を特定しない交付金など)を国から交付する方法があります。地方自治のためには、地方税が一番です。自分で集めて自分で使うのですから。
(税源移譲の方法)
国民の負担を上げないで地方税を増やす方法が、「国から地方への税源移譲」です。
今回行う方法は、個人の所得にかける国税を、地方税に移すのです。即ち、私たちの所得には、国税として「所得税」が、地方税(県税・市町村税)として「住民税所得割」がかかっています。
例えば、所得税を10%・住民税を5%・合計15%払っている人がいると、所得税を5%・住民税を10%・合計15%にすると、国の取り分が減り、地方の取り分が増えます。個人の(国民の)負担は変わりません。
(国と地方の損得)
もし、3兆円国庫補助金を廃止するとしたら、3兆円を税源移譲します。すると、国は、歳出(国庫補助金)が3兆円減りますが、歳入(国税)も3兆円減るので損得なしです。予算規模は3兆円減ります。
地方は、歳入(国庫補助金)が3兆円減りますが、歳入(地方税)が3兆円増えて、損得なしになります。ただし、個別の団体ごとには、でこぼこが生じることがあります。
【第4部:地方交付税】
地方交付税って何ですか