新聞の見だし

4月27日の読売新聞夕刊に、「東電に3100万円賠償命令」という記事が載っていました。福島第一原発事故で病院に入院中の患者がバスで避難させられ、死亡した事件です。遺族が東電に賠償を求めた裁判の、東京地裁の判決です。この事件は、原発事故とともに、避難誘導が適切に行われなかったという、反省すべきことです。
ところで、今日ここで取り上げたのは、新聞の書き方についてです。読売新聞には、「遺族側の代理人弁護士によると、東電側は避難と死亡との因果関係は争わず、賠償額が主な争点だった」と書かれています。他方で、朝日新聞夕刊は「避難患者死亡、東電に責任 東京地裁、原発事故で賠償命令」という見出しです。この見出しを見ると、東電が患者死亡について責任の有無を争っていたと読めます。記事にも、東電が因果関係は争わず、賠償額が争点だったことは書かれていません。これは、誤解を招きますね。編集者も気がついたのでしょうか、翌28日朝刊には「3100万円賠償、東電に命令 入院患者、原発避難で死亡 東京地裁判決」という見出しになっていました。
気になって他紙を見たら、毎日新聞28日朝刊は「東電は死亡との因果関係を認めており、賠償額が争点だった」、日経新聞28日朝刊は「東電側は原発事故と死亡との因果関係は認め、賠償額を争っていた」と書いています。