アドラー、劣等コンプレックス

NHK100分で名著2016年2月は、岸見一郎さんの「アドラー『人生の意味の心理学』」です。アルフレッド・アドラーは、フロイトと同時代の、オーストリアの心理学者です(1870年~1937年)。テキストp43から。
・・・では、劣等コンプレックス、優越コンプレックスとは、具体的にはどんな状態を指すのでしょうか。まずは劣等コンプレックスについて説明しましょう。
アドラーの心理学では、劣等感を「言い訳」に使うことを劣等コンプレックスと呼んでいます。劣等コンプレックスとは、「AであるからBができない」、あるいは「AでないからBができない」という論理を日常生活で多用することです。このAとしてトラウマや神経症など自他ともに否定できないことを持ち出し、だからBができないなのだと主張するのです・・・
このあと、朝起きて学校に行きたくない子どもが「お腹が痛い」という例を挙げていますが、私には、次の例の方がわかりやすいです。p44。
・・・赤面症を治したいという女学生が「赤面症が治ったら何をしてみたいですか」とたずねられ、「思いを寄せている男性に告白したい」と答えたとします。本人は「赤面症だから男性とつきあえない」と思い込んでいますが、実際には「告白してふられるのが怖いから、その人との対人関係に入っていきたくない」ので、対人関係を回避するための理由として赤面症を創り出しているのです。
本来、劣等感は建設的に補償するしかありません。例えば自分が理想とする状況に到達していないと思った場合は、もっと勉強しよう、もっと努力しようと考えて、建設的な努力をするしかないのです。しかし劣等コンプレックスのある人は、しないこと、できないことの言い訳ばかりを探し、現実の課題から目を背けようとしてしまいます・・・(