ポンチ絵という言葉

東大出版会PR誌「UP」10月号に、佐藤郁哉・一橋大学教授の「不思議の国を社会調査」が載っています。そこに、不思議な用語が、4つ取り上げられています。まず、「ポンチ絵」について。
・・・ポンチ絵というのは、この場合、概念図や略図のことを指す。この言葉は官庁用語になっており、各種官庁のウェッブサイトでは、おびただしい数のポンチ絵らしき図表を目にすることができる。また大学の予算申請などの際にも、監督官庁やその関係機関に対してポンチ絵を提出することが求められる場合が少なくない。
もっとも、このような意味でポンチ絵という言葉を用いるのは、かなり奇妙な慣行である。なぜならば、ほとんどの辞書に明記されているように、「ポンチ絵」は、通常「西洋風の風刺画・漫画」(『日本国語大辞典』小学館)を意味するからである・・・
この文章の後に、先生の解説と批評が書かれています。そこは原文をお読みいただくとして。私も、この言葉を職場で使っています。「1枚の紙にした、簡単な解説図」です。職員には通じる便利な言葉で、よい言い換える言葉がないのです。原義に戻れば、佐藤先生の指摘のとおりなのですが、既に官庁では日本語として定着しています。何か良い代案はありませんかね。
たぶん、公務員の多くは「ポンチ」という言葉が、「パンチ」という官庁を風刺の対象とした漫画という原義でなく、なにか「簡単な図」という意味に取っているのかもしれません。このあたりのことは、学識の深い肝冷斎に聞いてみます。