復興。市町村長の決断と動き、住民の協力

9月5日の日経新聞p2(政治解説欄)「真相深層」が、「東北復興、初動の重み。震災4年半、集団移転や水産業再生で差」「リーダーと住民の決断カギ」を書いていました。他の市町村より早く円滑に、集団移転や産業復興を成し遂げた事例の背景に、市町村長の決断とそれに応えた住民があったことを、分析しています。
宮城県岩沼市では沿岸部で被災した6集落を、内陸部に新しい街をつくって移転させました。避難所に被災者を移動させる際に集落ごとに集まって暮らしてもらい、仮設住宅でも新しい町でも、元の集落ごとに固まって住んでもらいました。同時に、新しい街をつくる議論についても、集落ごとの意見集約を急ぎました。市長のリーダーシップです。宮城県女川町では、町長が先頭に立って、駅前の土地の買収を行い、ここを街の賑わいの中心にする工事が進んでいます。もっとも、首長が素早い決断をしても、住民の納得がないと、その後の事業は円滑には進みません。ご関心ある方は、お読みください。
記事では紹介されていませんが、ほかにも、市の活力の源は水産業だとして、魚市場の復旧を急いだ岩手県大船渡市長や、素早く用地を確保して公営住宅を造り自治会もつくった宮城県東松島市長もおられます。かつては、2004年の中越地震の際、全村民から委任状を取り付け、復旧事業を迅速に進めた、新潟県旧山古志村の長島忠美村長(現・復興庁副大臣)もおられます。
もっとも、事業がうまく行くには、市町村長の力量だけでなく、議会の理解と協力、住民の協力・住民の首長への信頼も重要なのです。住民の中に核となる町内会長や商店街の幹部がいることも、意見の集約に効果的です。市町村を回っていて、しばしば市町村ごとの政治風土の違い、首長と議会との力関係を感じました。