復興5年目、立ち止まって考える。NHK解説

紹介が遅くなって、申し訳ありません。3月21日0時過ぎ、わかりやすくいうと20日深夜、NHK解説スタジアムは、7人の解説委員による「5年目の復興、何が必要か」でした。4年経った現時点での問題点を、整理しています。いくつかの発言を引用します。詳しくは、原文をお読みください。

城本:この東日本大震災、三陸から太平洋岸の非常に広い地域にわたって被害が出たと。それから、福島では原発災害も起きたということで、地域によって非常に事情が違っているわけですよね、もともと。そこにですね、私は、この4年間の間に大量にヒト・モノ・カネを集中的に投入して、とにかくインフラから、いわば全面的に一気に復興していこうという、ここは一定の評価ができると思うんです。ただ、問題は、地域差、あるいは、被災者でも個々の被災者によって随分事情が違うということで、その地域、あるいは、その地域の中でも、人によって復興に差が出てきていると。格差といいますかね、違いが出始めてきていると。このことが非常にこれから問題になっていくと思いますので、これからは、そういった個々の事情に応じた、きめ細かな、言ってみれば、量的な復興から質的な復興へと変えていくという時期に来たんだと思っています

西川:ここまでの話でもインフラから住宅再建、それから経済の再建というところにフェーズが移りつつあるということが見えてくるようなんですけれども・・

城本:一言で言って、今、立ち止まって考える勇気を国や自治体が持たなければいけないと思ってます。どういうことかといいますと・・

関口:僕も、一度立ち止まって考え直してみるべきだ、という意見に賛成です。1つ問題提起したいのは、自治体が復興計画を立てるときに人口の見積もりをどうしていたのかということです。人口減少が今まで以上に進むんだということを前提にしてるかどうか、むしろ、人口を維持するような形で復興計画をつくっていて、現実がそれとかい離してきていますから、そこは少なくとも見直さなければいけないのではないかと思います。

城本:これは実はこの被災地だけの問題ではなくて、1度始めた公共事業は途中でやめられないとかですね、1度補助金をもらった事業は、それを途中でやめられないというのが今の日本の仕組みなんですね、この国の。それはもう通用しないということがわかったわけですよ。だから、辻村さんが指摘したように、まあ、最初はしょうがないですよね。必死で計画を作ってやるんだけど、しかし、ここでいろんな問題が見えてきたら、ここはやっぱり立ち止まって、本当にこのままでいいのか、縮小することもいいし、必要なお金を別なことに使うということもあり得ると思いますし、そういったことを、これは自治体が主体で考えなければいけないと。で、いまだにその見直しも霞が関主導でやるという仕組みになってしまっていると。ここを変えなければいけないと思うんですね。

早川:・・復興支援というのが、城本さんから霞が関で考えていると指摘がありましたが、本当にこれまでの支援というのが地域の自立に役に立ったのかどうかと、ここで立ち止まるというのはまさにその点だと思うんですね・・

関口:地元自治体に一部負担を求めるか、大きな論点になってくると思います。これまでの問題点として、1つは、全額、国が予算を持ってくれていることで本当に必要なもの以上に過大な施設や事業になっていないかということ。また、国に作ってもらうのはいいが、その後の維持補修は自治体の負担になっていくから、それに耐えられるかどうかということ。そういう意味では、見直す必要があるのではないのかなと思っています。というのも、自治体の地方自治という観点から考えてみたときに、住民が何を求めているかを探り、それに優先順位をつけていって、合意をつくるというのが自治体の仕事だと思うのです。ただ、今は予算があるから、その予算をかき集めるという形になってしまい、本当の意味の自治で、何が必要なのかの「合意をつくる」ということがおろそかになってはいないかということを心配しています。本来の自治の姿を取り戻すには、地元負担が入ることは1つの意味があると思っています。

早川:私は、やっぱり、被災した方からお話を伺っていると、やることがないのが最大の苦痛だって聞くんですよね。つまり、どんな小さなことでもいいから、自分に役割があって、仕事があるという状態というのが最大の心のケアになるんじゃないかなというふうに思います。そこは、自立的に自分たちが生きていく、生きがいというか、目的にもなるわけですから、そうしたものを作り出せるような、それは行政のやることではおそらくないと思うんですけれども、そうしたことを考えていくこと。