年別アーカイブ:2014年

被災地への民間人派遣、新しい試み

2014年3月23日   岡本全勝

23日の朝日新聞社説は、「復興と人材育成。被災地を学びの場に」でした。
・・東日本大震災から3年。被災地の惨状は、多くの人に「自分は何ができるか」を問う機会になった。
復興事業では、被災者の複雑な要望を調整しつつ、過疎と地域経済の沈滞という震災前からの課題の克服を迫られる。大きな挑戦だが、だからこそ新たな人材が育つ場にもなりつつある。この流れをさらに太くしていきたい・・
そして、「WORK FOR 東北」、「RCF 復興支援チーム」、NPO「ETIC.」の「右腕派遣プログラム」などが紹介されています。
大震災を機に取り組んでいる新しい試みや、取り組まれている挑戦を取り上げていただき、ありがとうございます。まだまだ世間では知られていない試みなので、このように取り上げていただくことは、ありがたいです。
さて、被災地では職員が不足するので、このような試みを行っていますが、これは職員不足対策にとどまりません。社説でも指摘されているように、「人(人数)が足らない」だけではなく、「市町村役場が持っていない技能や経験が足らない」のです。被災者と役場とをつなぐ人材、産業界と役場をつなぐ人材、これまでにない企画を管理監督する人材などです。
そしてその場合は、民間人を雇うだけでは効果は発揮できません。役場に、その知識と経験がないのですから。役場と対等な立場で協働する関係も必要です。
国が間に入って被災地に職員を送ることや民間人を採用して送ることなども、初めての試みです。しかしそれにとどまらず、行政の手法や地域の公のあり方を変えていこうとする試みなのです。詳しくは、原文をお読みください。

分け入っても分け入っても

2014年3月23日   岡本全勝

「分け入っても分け入っても青い山」(種田山頭火)。
私の場合は、「分け入っても分け入っても資料(仕事)の山」。山頭火に比べ、色もなければ風情も余韻もありません。
去年の4月6日にも、同じことをぼやいていました。そのとき書いた「週末しか整理の時間がとれないこの勤務実態は、どうにかしなければなりません」という状態は、変わっていません。なぜでしょう。人類に進歩はあるのに、私の仕事ぶりには進歩がないのでしょうか。
平日昼間は、自分の時間が取れない。夜は、異業種交流会が忙しい。資料整理や立ち止まって考えることができるのは、休日だけ。3連休のうち2日出勤して、結構片付いたのですが、まだまだ資料の山は高いです。
考える時間ができると、また仕事を作ってしまいます。いろんなことに、手を広げすぎなのでしょうね。と書きつつ、反省せず日本酒へ。

自己責任から公助へ

2014年3月22日   岡本全勝

3月19日に紹介した朝日新聞の記事「被災地の中小企業」に、次のようなくだりがあります。
・・そもそも被災した工場や設備などの再建に公費を投入することは、大災害の復興において長くタブー視されてきた。「税金による企業救済」と批判されかねないからだ。
1995年の阪神大震災の時も、被災した地元の中小企業から補助金の要望が出たが、この原則をタテに国は拒んだ。神戸の靴産業にとっては、復活への足かせになった・・
そうなのです。今回、中小企業庁が決断して、中小企業がグループで復旧する場合に国庫補助金を出し、また仮設店舗や工場を無償で貸し出しました。そのような支援をしないと、この被災地では産業が復旧せず、また商業サービス(小売店)もないのです。
これは、大きな社会変化の中でみると、自己責任から公助への変化に位置づけることができます。
また、ボランティア(NPO)による支援の拡大は、自己責任と親類や近所の助けあい(従来型の共助)から、ボランティアによる支援(新しい型の共助)への変化に位置づけることができます。
政府の責任が拡大し、社会の共助(ボランティア精神、企業の社会的責任)が認識され、コミュニティの重要性が再確認されたのです。そしてこれは、関係者が努力した結果であり、また努力中のものです。

生活復興に必要なもの

2014年3月21日   岡本全勝

ひょうご震災記念21世紀研究機構がつくった「生活復興のための15章」が、復興庁のHPで見ることができるようになりました(3月19日の記事の続き)。
p3に、目次があります。テーマとしては、暮らし、生きがい、健康、住まい、仕事、まち等です。そして手法として、学びと協働があります。人の生活を包括的にとらえることは、これまでの国の行政にはなく、またこれらのテーマも従来型の行政では、ぴったりとはまらないものです。国は何ができるか。そこに、難しさがあります。

応援職員の事前の研修と途中の相談、2

2014年3月21日   岡本全勝

昨日の「事前の研修と途中の相談」を、派遣される人の立場で、考えてみましょう(以下の記述は、「ワークフォー東北」の関係者との議論を参考にしています)。
まず、応募する際、あるいは派遣される前の段階です。「私は、現地で何をするのか」「何を求められているのか」「その職場は、どのようなところなのか」「何年働くのか」など。職務内容や職場の状況を、明確に知りたいでしょう。「現地に行ってみてから考えよう」では、不安です。
また、「被災地がどのような状況にあるのか」も重要です。現地の状況は、新聞報道だけではわかりません。
派遣が決まったら、「事前研修」が必要です。公務員としての心得です。守らなければならない倫理や守秘義務など、民間企業と共通する面とともに、公務員特有の縛りがあります。情報公開やサイバー攻撃も。このような法令の知識だけでなく、次のような「派遣者の心得」とも言うべきものがあります。
企業と役所では、目標と手続きが違います。企業の場合は儲けるためにに、少しでも早く企画を立て実行します。それが、ほめられます。しかし、役所の場合は、公平性が必要です。「同じ条件なのに、A地区だけ優遇して、B地区はそれを認めない」といったことは、認められません。理屈が立てば、認められますが。「内緒ですが、あなただけ優遇します」は、ダメなのです。
そして、決定手続きや支出手続きも、かなり厳格に決められています。ものによっては、議会によるチェックもあります。年に4回の議会もあります。これは、企業で言えば株主総会でしょう。このような違いは、企業経験のある方が、異口同音に指摘されます。
社風の違いとともに、地域の風土も違います。僻地の小さな村では、東京の大手町とは違った「時間や慣習」で物事が進みます。もちろん役所も、企業を見習って改善すべき点はたくさんあります。しかし、いくら良い考えでも、役場の中や地域の中で一人で奮闘しては、改革は難しいです。耕運機や軽トラックが走っている農道を、スポーツカーでぶっ飛ばすと、交通事故が起こります。あるいは、一人だけゴールにたどり着いて満足したけど、後ろを見たらみんなを置き去りにしていたとか(ちょっときつい比喩ですが)。
改革するためには、周りを巻き込む必要があります。そのために、ひとまず、現地の風習に慣れてもらう必要があります(私は、外部の方の刺激によって、役場の改革が進むことを期待しています。しかしそのためには、十分な手順が必要なのです)。
こんな時に効果的なのが、先輩の経験談です。私も、公務員になったときや、管理職になったときに、いくつか研修を受けましたが、一番役に立ったのは、先輩の経験談や懇親会や仕事場での質問でした。紙に書いてあることも重要ですが、書いてないこと・書けないことで、それ以上に役に立つことがあります。
次に派遣中は、受入れ団体や送り出し団体(上司や人事当局)による、定期的な面談や相談が必要です。普通の職場で行われている、上司との面談、人事当局による面談、先輩による指導や相談、メンタルな相談です。また、似たような境遇の人たちや経験者による相談も、効果的です。「私も、その点に悩んだのよ」と。
そして、派遣期間が終わった後、この経験をどのように活かすか。また、企業から派遣されたのではなく、個人で応募された方は、次の職探しがあります。
職員の方に、安心して働いてもらい、能力を発揮してもらうためには、それなりの配慮が必要です。