年別アーカイブ:2014年

企業との連携

2014年7月21日   岡本全勝

藤沢烈さんのブログ「被災地における行政と企業の連携が、いよいよ進むのか」(7月20日)から。
・・企業連携の在り方は被災自治体によって違いがあります。RCFが関わる釜石市では、釜援隊が様々な企業からのリクエストを受ける存在になっています。女川町では、NPOアスヘノキボウさんが受け口になっています。大船渡では、市役所に入っている東北未来創造イニシアティブのメンバーが調整役になっていますし、石巻では、これからできる六次産業化センターがその役割を担います。
ただ、これらの市町村は企業連携が進んでいる地域です。多くの被災市町村では、連携の窓口が決まっていなかったり、担当者の時間・経験不足で対応し切れていません。また、自治体の規模やニーズによって窓口の内容や活用する制度も異なるわけですが、そうしたノウハウはあまり共有されていません。さらに言えば、ある自治体に届く企業支援が、一つの自治体にとどまって他には広がらないことがあります。というか、これは私見ですけれども、企業やNPOが検討した支援の8-9割は適切にマッチングされていなかったと感じます・・

被災地の復興には、行政だけでなく、企業やNPO・中間団体の役割が重要です。復興庁では、企業連携班やボランティア連携班を作って、進めようとしています(多様な主体の取り組み)。企業との連携では、大きく分けて2つの分野、2つのアプローチがあります。
一つは、被災地での産業復興です。政府はさまざまな手法で、産業復興を支援しています。もちろん産業の主体は企業や事業主であり、政府の仕事はその支援です。もう一つは、企業のCSRです。「民間企業による主な復旧復興支援活動」を分類して、企業の皆さんに支援を呼びかけています(民間企業による復興段階における支援活動)。
藤沢さんの指摘のように、せっかくの企業からの申し出に対して、まだ十分な対応ができていません。もったいないのです。これまで、自治体は企業誘致の他は、企業との付き合いがほとんどありませんでした。役所は、企業を事業委託の相手方か補助金の相手方としてしか、認識していなかったのです。対等に協力するという経験や発想が乏しいのです。特に域外の企業と、どうやって協力してもらったら良いかのノウハウやつなぐ場がありません。いろいろ試みているのですが、これからの課題の一つです。

企業の災害への備え

2014年7月21日   岡本全勝

7月16日の日経新聞に、「物流網、災害に備え。ヨーカ堂、拠点整備。1か所で必需品そろう」が載っていました。
食品、日用品、衣料の、3つの分野を専門に扱う物流センターが、首都圏に10か所あります。それを、5か所に集約するとともに、それぞれのセンターが、3分野の商品全てを扱うようにします。
これは、東日本大震災の経験を教訓にした、見直しだそうです。これまでの方法だと、あるセンターが被災すると、扱っている商品分野が違うので他のセンターでは代替が難しい場合があったのです。合わせて、これによってトラックの配送効率も高まるのだそうです。
商店やコンビニ、そしてそれを支える物流システムは、災害時に大きな役割を果たします。今回の見直しは、重要な災害への備えですね。ありがとうございます。

そしるより誉める

2014年7月20日   岡本全勝

肝冷斎が、毎日、漢文日録を書き続けています。その博覧強記には、驚きます。「よくまあ、有名でない中国古典を、たくさん読んでいるなあ」と。奇想天外な話が多くて、私にはついていけないことが多いのですが。たまには、役に立つことも書いてあります。7月19日は、五代・譚峭「斉丘子」より「神弓鬼矢」でした。本論の前に書かれていた部分が、納得できました。

「誉人者人誉之、謗人者人謗之」
読み:人を誉むる者は人これを誉め、人を謗る者は人これを謗る。
意味:他人を誉める者は他人もそのひとを誉め、他人を謗る者は他人もそのひとを謗るものである。

「君子能罪己。斯罪人也。不報怨。斯報怨也」
読み:君子はよく己を罪す。すなわち人を罪すなり。怨みを報ぜず。すなわち怨みを報ずるなり。
意味:立派な賢者は、「自分にこそ責任がある」ときちんと認識することができる。これはすなわち、逆に他人に(もしかしたら自分に責任があったかも・・・)と考えさせることになり、そのひとに責任を問うのと同じことなのである。
怨みがあってもこれに復讐することはない。これはすなわち、相手に(自分は復讐されてしかるべきなのに復讐されないのは、自分で反省しろということなのか・・・)と考えさせることになり、そのひとに復讐したのと同じことになるのである。

これほどまでの聖人君主、あるいは大人(たいじん)の態度は、なかなかとれません。飲み屋で、上司の悪口を言うことのブーメラン効果については、『明るい係長講座』(中級編p5)に書きました。
部下を動かすには、北風さんと太陽さんの、どちらがよいか。イソップ童話と同じで、私は太陽政策を採ります。誉めることの効用は、『明るい係長講座』(初級編p15)で、私の経験談を元に強調しました。わかりやすい挿絵付きです。
もっとも、北風さんと太陽さんの話には異説(前段)があって、旅人の帽子を取る競争では、太陽が負けます。これだと、目的に対して手段を間違うな、という格言になります。
すると、もっとわかりやすい言い方は、「豚もおだてりゃ木に登る」(豚を叱っても、木には登らない)です。でも、これだと下品で、研修会などでは使えませんね。「私は豚か」と、部下から反発を受けます。

空き家が820万戸も

2014年7月20日   岡本全勝

7月30日の各紙が、空き家が過去最高の820万戸、13.5%になったことを伝えていました。総務省が発表した「住宅・土地統計調査」です。5年前に比べて、63万戸も増えたそうです。すごい数ですし、増え方もすごいです。今や、10戸に1戸どころか、7戸に1戸が空き家です。1戸あたり住人が2人とすると、120万人分です。政令都市1つ分です。
これは、日本社会の変化を、表しています。1つには高齢化や人口減少です(社会全体)。もう1つには過疎化と集中です(地域間アンバランス)。もっとも、都会でも空き家は増えています。
国や自治体の政策も、変化せざるを得ません。かつては住宅が不足していて、「増やすこと」が主眼でした。数が揃うと、次は「質の向上」です。劣悪な家を壊して、部屋数が多くて広い家、快適な家を供給することでした。
そして今は、空き家をどうするか。特に問題は、放置された空き家です。318万戸もあります。そのままにしておくと、地域の環境が悪くなります。このページでも、「地域の空き家対策」(2014年2月10日)を紹介しました。そして、より根っこにあるのは、過疎化(地域政策の問題)と、高齢者が亡くなった後に管理する人がいないこと(家族のあり方の問題)です。

政策の意外な副作用

2014年7月20日   岡本全勝

日経新聞1面連載「規制、岩盤を崩す」7月18日は「空き家放置が合理的。新築優遇、人口減で裏目に」でした。東京都大田区の木造2階建てアパート大和荘、築46年で10年以上前から誰も住んでいません。朽ち果てて、危険な状態なのでしょうね。区役所は、再三、持ち主に対処を求めましたが、らちがあかないので、同意を得ずに代執行で取り壊しました。
なぜ放置されているか。持ち主の男性(94歳)に聞くと、「取り壊して更地にすると、土地の固定資産税が跳ね上がるから」だそうです。
・・固定資産税には、住宅が建っている土地の税額を本来の6分の1に抑える優遇措置がある。大和荘の約150平方メートルの土地にかかる固定資産税は今年度まで約8万円だったが、更地になる来年度からは優遇が減って約30万円になる。
税の優遇措置が始まったのは高度成長期の1973年。人口増に住宅の供給が追いつかず、農地などの宅地化を進める目的で取り入れた。それが「いまでは空き家を撤去せずに放っておく誘因になってしまった」(富士通総研の米山秀隆上席主任研究員)・・
私も、この優遇措置を受けています。それが、意外な副作用を生んでいるのですね。