終末期での仏教の出番

1月28日の朝日新聞夕刊に、「僧侶が寄り添う終末期、仏教版ホスピス『ビハーラ』」が紹介されていました。20年前から、仏教を末期ケアに取り入れている新潟県長岡市の病院の例です。末期がん患者らの緩和ケア病棟、ベッド数27です。中央部に、ナースステーションと仏堂があり、菩薩像が置かれています。
ビハーラ」は、サンスクリット語で休息所や寺院の意味です。キリスト教に基づくホスピスではなく、仏教を背景とした看取りの場を指すことばとして、提唱されています。
お年寄りが、お経を読むことを許さない雰囲気がある病院もあるとのことです。「それは医療行為ですか」と。自宅では毎日、仏壇に手を合わせていた人たちです。手を合わせることで、心が安らぐのでしょう。
「お坊さんなんて、縁起でもない」という人もいるようです。しかし、平安時代の浄土思想以来、仏様が迎えに来てくださるという考えは、日本の庶民に広く行き渡っています。「葬式仏教」では、お迎えが来てから(亡くなってから)、お坊さんの出番がありますが、これも変な話ですよね。
たくさんの人が、功徳を求め、また「ぴんぴんころり」という死に方や、あの世(極楽浄土)での生まれ変わりを願って、お寺に参りお賽銭を入れます。遺族のためだけでなく、本人のためにも、最後の苦しみの場に、仏教の出番があって良いでしょう。
大震災を期に、宗教が社会で果たす役割が見直されている、一つの例です