発災から1年半、マスコミ報道

発災から1年半の節目で、マスコミがたくさん取り上げてくれました。ありがたいことです。復興庁への批判的な内容もありますが、それはそれで役に立ちます。しかし、気になったことを指摘しておきます。

1 復興を進めるための、建設的な意見がほしい。
私は、復興を取り上げる際には、「地域の復旧=マクロの客観的データ」と、「個人の生活の復旧=ミクロの主観的意識」の両方を見据えて、何が必要かを書くべきであると考えています(2012年7月31日の記事)。
私たちに求められているのは、地域の復旧と個人の生活再建です。復興庁の仕事もマスコミの記事も、それを助けるための「手段」です。記者と官僚の立場と手法は違いますが、「日本をよくする」という使命は同じです。情緒的な切り口も重要ですが、それだけでは、復興は進みません。建設的な批判や、課題の指摘がほしいのです。

2 読者や視聴者は、まずは被災者であること。
全国紙や全国放送は、日本全体を対象としています。しかし、復興に関しては、まずは被災者が主たる対象でしょう。
被災者が読んで、どう思うか。すると、彼らを勇気づけ、前に進むような記事もほしいです。
国や関係者に対する批判も重要ですが、「ここでは、これだけ進んだ」とか「こうすれば、もっと進む」といった取り上げ方は、できないでしょうか。私は「批判記事を書くな」とは言っていません。それも、私たちの仕事を改善するために重要なことです。しかし、見ていて、被災者が暗くなるだけの番組や記事は、バランスを失していると思います。

3 復興の現場は、被災地であること。
復興庁に、取材に来られる報道関係者も多いです。私は常に、次のようにお話ししています。
「復興庁を取り上げていただくのは、うれしい。しかし、主役は、被災者であり、市町村役場の職員です。彼らを、取り上げてください。また、復旧が進んでいるかどうかは、東京ではわかりません。現地に行って、見てください。どこでどのような状況にあるかは、私たちの知っている限り、情報提供し協力します」と。
現場の復旧度合いを取り上げない番組は、どこか変です。