復旧での統計の活用・3

さて、統計は、何かの目的のために作られます。それは、現状を把握するため、あるいは課題を発見するためです。しかも、被災地が大変な状況になっている場合に、手間暇をかけて、また市町村役場に苦労をけるわけにも行きません。
例えば発災直後に、避難者の数を把握する必要がありました。これは、最低限の数値です。ところが、被災市町村は、避難者を数えている余裕すらありませんでした。どこにどれだけの避難所があるかも、把握できませんでした。僻地で孤立し、民家を避難所としていたところもありました。
そこで、私たちが使ったのが、毎日送っている弁当の数でした。これを3で割ることで(1日3食と仮定して)、おおよその数がわかりました。この中には、自宅にいるが、電気ガスが止まって食事ができない人も、含まれています。しかし、当時私たちが必要だったのは、どれだけの人が支援を求めているかでした。この数字で、まずは十分だったのです。
その後、避難所の生活環境を改善するため(温かい食事は届いているか、風呂に入っているか、トイレはどのような状況かなど)、避難所の実態調査をしました。これも、回答がない避難所もありました。それくらい大変で、回答などしておられなかったのです。しかし、これだけでも、おおよその状態はわかり、関係者にどこに力を入れなければならないかを理解してもらえました。