年別アーカイブ:2011年

新聞の役割・ビッグネームと読者を結ぶ

2011年11月5日   岡本全勝

10月21日の朝日新聞、オピニオン欄「ようこそ、論争の解放区へ」に載っていた、イギリス、フィナンシャル・タイムズの論評面編集長(コメント・エディター)のジェームズ・クラブツリーさんの発言から。
・・どうすれば自分たちの「商品」がインターネット時代に適応できるか。あらゆる新聞が、それを見極めようとしています。「何が起きたのか」という基本情報はもはや新聞の独壇場ではなく、どこでも手に入る。だからこそ、オピニオンの時代です。
新聞には、見識に裏付けされた質の高い分析・論評が、ますます求められています・・
コメント面は、専属コラムニストと外部執筆者が、ほぼ半分ずつ書いています。エディターの役割は、最もホットなテーマと、それを最も面白く語ってくれる最もビッグなネームを探し出すこと。よそとは違う発想や争点を探し当てるコツが必要なのです。
経済紙なので、読者の中核は投資家や経済人です。何がビジネスに影響を及ぼすかを知るには、政治リスクの理解が欠かせません。企業の四半期決算を見ているだけではだめで、「アラブの春」や福島第一原発事故がわからなければならない。たとえば原発事故では、日本という国がこの危機にどう対処し、それは現代日本のありようをどう語っているのか、といった論評こそが興味を持たれます・・

面積の比較

2011年11月3日   岡本全勝

原発事故で避難を余儀なくされた中心は、福島県双葉郡です。ここは、東京都23区より広い面積です。川内村だけで、山手線内の3倍の広さがあります。このほかに、相馬郡飯舘村や南相馬市の一部なども含まれるので、避難対象となった区域は、もっと広いです。
福島県の地図だけを見ているとわかりませんが、福島県は東京都の6倍の面積があります。さらに、岩手県は四国並みの広さ、といわれます(正確には、少し狭いのですが)。新幹線の駅から沿岸部まで、車で2時間~2時間半かかります。 (ウイキペディアの面積の比較

山手線の内側:63km2
福島県川内村:197km2飯舘村:230km2南相馬市:399km2
東京23区:621km2。福島県双葉郡:865km2
東京都:2,187 km2。福島県:13,872km2
岩手県:15,278km2。四国:18,298km2

復興庁法案閣議決定

2011年11月1日   岡本全勝

今日の閣議で、復興庁設置法案を決定しました。
復興庁は、内閣府と同様に、内閣を補助する総合調整事務と、個別の実施事務を行います。また、内閣総理大臣を長とし、事務を統括する復興大臣を置きます。これは、総理が長で、官房長官が事務を統括している内閣府と同じです。各省の場合は、長は大臣です。復興庁は、各省より一段高い位置づけになります(国家行政機構での位置づけ)。
大臣を増員するほか、副大臣と政務官(3人)も増員します。出先機関(復興局)を岩手県、宮城県、福島県に置きます。沿岸部は遠いので、支所を置く予定です(組織図)。10年間の時限組織としてあります。

復興庁の役割は、被災市町村の復旧と復興を支援することです。市町村が望んでいることに、応えることができるように設計しました(復興局でのワンストップサービスの図)。
1 復興計画をつくる際に、技術的な助言をしてほしい。→復興庁が中心になって、各省の専門家とともに助言に行きます。
2 規制を緩和してほしい。→復興特区の認定は、復興庁が行います。
3 財源が欲しい。→復興交付金は、復興庁が決定します。
4 地区内で行われる、県事業や国事業、さらには民間(JR等)事業を調整してほしい。→協議会の場などで、調整します。
5 東京まで行ったり、各省の窓口をたらい回しにしないでほしい。→出先機関である復興局で、すべて受け付けます。各省にまたがる問題も、復興局の職員が調整します。本省に相談する必要があれば、復興局の職員がします。市町村職員は、復興局まで来ていただければ、東京まで行く必要はありません。他の国の出先機関に行く必要もありません。
市町村の立場に立った、かなり良くできた仕組みだと自負しています。

ユーロ危機、政治の挑戦と経済の失敗

2011年10月31日   岡本全勝

ギリシャに端を発した欧州の債務危機が、大きな問題になりました。なぜ、こんなことになったのか、いろいろな解説がされています。私は、経済と金融という側面とともに、政治による新しい仕組みへの挑戦と混乱という観点に関心があります。10月28日の日経新聞「つまずいた大欧州」、下田敏経済金融部次長の解説「ユーロ、債務危機の試練。統合優先、粉飾見ぬふり」が、要点を整理してありました。

ギリシャがユーロに参加する前に、関係者は強い懸念を表明していました。ギリシャは財政規律や物価抑制の基準を満たすことができず、実際に参加は2年遅れました。その際も、基準を達成したけれど、数値が粉飾ではないかと、疑われていたのだそうです。その後、ギリシャ政府が「自白」しました。
それでもなぜ、参加を認めたのか。今回の債務問題の震源地であるギリシャ、スペイン、ポルトガルは、長く軍事独裁政権が続きました。1970年代に独裁政権が崩壊しましたが、放っておくと政治体制が揺らぐ恐れがありました。欧州統合で、これらの国に政治的安定をもたらそうとしたのです。
その後しばらくは、EUの中欧と東欧への拡大で、経済が拡大し、問題が顕在化しませんでした。ここに来て、露見したようです。

通貨と金融政策は統合したけれど、財政政策は各国に残るという、現在のユーロ制度に、問題はあります。しかし、完璧を期そうとすると時間がかかります。少々のリスクを抱えつつも、大きな目的に向かって改革に挑戦する。それが、進歩を生むのでしょう。
「こんな危険もある」「こんな恐れもある」といっていたら、改革は進みません。もちろん、被害の大きな改革は進める必要はなく、リスクには備えをしながら改革を進めるべきでしょう。しかし、石橋を叩いてばかりでは、前進はありません。メリットとデメリット、それも現在だけでなく将来を見通して進めることが必要です。