現地職員の休息

この仕事に就いて、いろんなことを勉強しました。その一つに、R&R(Rest and Recreation)があります。これは、被災地や紛争地で支援活動を行う際に、職員が一定期間の活動した後、少し離れた土地で休息や気分転換をする制度です。NGOや国連などで、採用されています。もとは、アメリカ軍が始めた制度だそうです。
被災地などでは生活環境が悪い上に、休息が取れません。休日というのが無く、休みを取ってもゆっくりできませんよね。そこで、近くで安全な場所に強制的に引き上げさせ、休息を取らせるのだそうです。そうしないと、職員の疲労がたまり、活動水準が落ちるのです。
海外の例では、スーダンでの紛争地で活動する場合は、ケニアのナイロビに引き上げさせる。アフガニスタンでの活動の場合は、タイのバンコクに引き上げさせる例を教えてもらいました。8週間、現地で活動すると、8日間の休暇をとらせます。そのために、交通費や宿泊費を出すのだそうです。

NGOの人たちと意見交換をした時に、教えてもらいました。それは、被災市町村の役場職員の健康を、気遣ってのことです。職員は、住民のために休みを取らず仕事をしています。聞くと、休みを取ると、住民から批判される場合もあるのだそうです。そして、職員も多くは被災しています。自宅が流された場合は、役場に泊まり込んでいます。最初の頃は着替えもなく、風呂も入れず、大変な環境でした。
その状況を、NGOの方が心配してくださったのです。「県庁や東京に呼び出して、3~5日の休暇を与えられないか」という提案もありました。現地説明会では、私も提言したのですが、実現しなかったでしょうね。日本人はきまじめですから。でも、長い目で見ると、この制度は合理的ですよね。精神主義だけでは、長続きしません。