協調・責任の分散か、競争・責任の明確化か

朝日新聞2月22日オピニオン欄、井上達夫東大教授のインタビュー「1票の格差の話をしよう」から。
教授は、議会制民主主義を2つのモデルに区別します。一つは、多様な政治勢力が権力を共有してコンセンサスで決めるという「コンセンサス型」。もう一つは、選挙で比較第1党になった政党に単独で政権を担当させ、政権交代を活性化させる「ウェストミンスター型」です。そして、政治的な答責性の面からは、コンセンサス型は問題が多いと主張されます。

・・アカウンタビリティーは説明責任と訳されますが、単に説明すればいいのではなくて、責任者に腹を切ってもらうことまで含む概念。私はそれを答責性と呼んでいます。政治的な答責性は2種類。一つは「誰が間違っていたのか」という主体的答責性。もう一つは「何が間違っていたのか」という主題的答責性です・・
・・コンセンサス型の場合、相互に拒否権をふるう多様な政治勢力の妥協で政策形成をするから、みんな自分が譲歩を強いられたという被害者意識を持つ。うまくいかなければ互いに責任を転嫁しあうので、誰が間違ったのか主体的答責性が曖昧になります。また、政策がつぎはぎになるため、何が間違っていたのか主題的答責性も不明確になる。答責性の観点からは、理念的、機能的な整合性をもつ政策体系を追求する単一の勢力に政権を運営させるウェストミンスター型が好ましい・・