年別アーカイブ:2010年

明るい課長講座・部下への接し方について

2010年3月30日   岡本全勝
NHKラジオの「実践ビジネス英語」3月号に、次のような警句が載っていました。
A great man shows his greatness by the way he treats little men.
--Thomas Carlyle (Scottish essayist and social historian,1795-1881)
自分より下の立場の人への接し方に、人の偉大さは現れる。

日本の開国を妨げるもの

2010年3月29日   岡本全勝

厚生労働省が、26日に、経済連携協定(EPA)に基づき来日したインドネシア人とフィリピン人の3人が、看護師の国家試験に合格したと発表しました。初めて門戸を開いたことは良いことです。しかし、3人という数字を、どう評価しますか。
27日付け日経新聞によると、昨年は受験者は82人で合格者はゼロ、今年は254人が受験して合格は3人です。全体の合格率が90%に対し、EPAで来日した外国人の合格率は1%でしかありません。日本人ならほとんどの人が合格するのに、彼らが合格しないのは日本語の壁によります。外国人にとって日本語が難しいことと、さらに専門用語が難しいのだそうです。
また、認められた滞在期間は3年で、受験機会は3回までです。介護福祉士にあっては滞在期間が4年ですが、3年の実務経験が必要なので、受験機会は1回になります。
日経新聞の記事には、各国の労働力人口に占める、外国人の割合が図示されています。アメリカが15%、ドイツ・イギリス・フランスが5~10%です。それに対し、日本は1%です。もちろん、移民でできた国アメリカ、植民地からの人を受け入れたイギリス・フランス(もっともこの人たちの多くは、イギリス国籍やフランス国籍を持っていますから外国人ではありません)、労働力不足の時にトルコなどから労働力を受け入れたドイツというように、歴史が違いますが。
「失業者が多い時に、外国人労働者を受け入れるのか」という意見もあります。しかし、介護の現場や3Kの職場で、日本人労働者が不足し、外国人労働者に頼っている、頼ろうとしていることは事実です。

国民の政治への期待

2010年3月28日   岡本全勝

24日の朝日新聞が、政治意識調査結果を載せていました。政治への見方が興味深いです。
まず、今の政治に大いに不満とやや不満が82%です。1年前の2月調査(自民党内閣)では91%でした。大いに不満が60%から40%に減っていますが、満足度は相変わらず低いです。今の政治は社会の将来像を示しているかについては、示していないが80%でしかありません(前回は91%)。
政権交代については良かったが68%ですが、政治が変わったは43%で、変わっていないが55%です。記事では「政権交代自体は評価しつつも、それで政治が良くなったかという点では、満足がいかないとの見方が主流のようだ」と分析しています。
日本を改革する力については、民主党は「ある」が30%で「ない」が56%、自民党は「ある」が20%で「ない」が70%です。政党への期待は、民主党は「期待を感じる」が36%、「不安を感じる」が59%。自民党は「期待を感じる」が25%、「不安を感じる」が64%です。

続・日本はどこへ行くのか

2010年3月27日   岡本全勝

26日の日経新聞経済教室に、小宮山宏前東大総長が、課題先進国日本の戦略について書いておられました。小宮山先生の「課題先進国」は、このHPでも何度か紹介しました。「海外に出て行かなかった日本」「輸入商社としての東大と官僚」など。
日本や韓国の例から見て、中国の高度成長は今後5~10年しか続かない。新興国の需要は、いずれ飽和する。需要には、飽和に向かう「普及型需要」と、まだ姿を見せていない需要である「創造型需要」がある。日本は、自らの課題解決をする中で創造型需要を掘り起こし、新産業を生み出し、世界に輸出して、先行者利得を得ることを目指すべきだ。低炭素社会と活力ある高齢社会が、重要分野になる。
・・これまでの日本は、所得倍増計画に代表されるように、政府主導で産業を導入し、GDPを増やして国民の暮らしをよくするという途上国型の体制で歩んできた。導入する産業がなくなった時点で、この体制は破綻している。今必要なのは、課題解決に向けて「日々の暮らし」を自ら創る、その結果新産業が生まれるという逆向きの流れである・・
詳しくは原文をお読みください。

救急車の出動・続き

2010年3月26日   岡本全勝

昨日(救急車の出動、消防大学校の機関誌「消防研修」を紹介しました。その中に、樋口範雄東大教授の論文があります。「救急活動と法の役割~奈良地裁判決を契機として~」です。
2009年4月27日に出た判決です。事案は、2006年11月に起きました。警察署の駐車場で、未明に男性が顔から血を流し酔った状態で、警察署員に保護されました。駆けつけた消防の救急隊員が、緊急性がないと判断し、男性の家族が到着したので、家族が男性を自宅に連れて帰りました。その後、男性は脳挫傷などがわかり、昏睡状態になりました。男性が、消防組合を相手取って提訴し、地裁は消防組合に1億4千万円の支払いを命じました。
いくつか興味深い論点があり、先生も指摘しておられるのですが、1点だけ紹介しておきます。
裁判で争われた大きな争点は、搬送すべき義務があったかです。そして、判決が敗訴で確定すると、救急隊員は次回から、軽傷であっても、なるべく搬送するように行動するようになるでしょう。しかし、誰でも運ぶとなれば、軽傷者が運ばれ、その間に後回しにされた重傷者が手遅れになる場合もあります。一方で、救急車にも限りがあるのです。
損害賠償請求裁判は損害の補填が目的ですが、その結果が、救急現場の問題解決にならないのです。先生はこの点を指摘し、解決策も提示しておられます。なお、公刊物として、樋口先生の「医療と法を考える―救急車と正義」(2007年、有斐閣)が参考になります。