年別アーカイブ:2010年

首脳のブレーン

2010年8月23日   岡本全勝

古くなりましたが、16日の日本経済新聞が国際面で、各国首脳の経済ブレーンを取り上げていました。
・・世界経済に不透明感が強まるなか、各国首脳の知恵袋となる経済ブレーンの存在感が高まっている。自らは経済通とはいえない首脳が、政権の安定維持を狙い、経済政策の微妙なかじ取りを一段と重要視してきたためだ・・
記事では、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、韓国の例が載っています。学者、議員、民間エコノミストなど、経歴はさまざまです。
経済分野に限らず、総理や大統領もスーパーマンではありませんから、すべての分野に通暁することは不可能です。そして、とてつもなく忙しいのです。どれだけ補佐官や官僚を使いこなせるか、それがリーダーには求められます。もちろん、彼らの意見を鵜呑みにするのではなく、是非を判断し、優先順位をつけるという仕事は、リーダーに残されています。

口蹄疫対策の教訓、新聞による評価

2010年8月22日   岡本全勝

18日の朝日新聞が、今回の宮崎県での口蹄疫を振り返って、特集をしていました。10年前の成功が過信となり、今回の失敗につながったのではないか。市町村に、防疫と埋却を同時に求めるのは無理があるのではないか。机上の消毒と殺処分計画は機能しなかったことなどの反省を書いていました。また、各種のデータも整理されています。とかく新聞は、事件を細切れに速報することに偏しがちですが、この特集は振り返って評価をするという、良くできた記事だと思います。

新聞と編集者の権威と役割

2010年8月22日   岡本全勝

古くなりましたが、8月8日の読売新聞一面「地球を読む」は、山崎正和さんの「報道の電子化」でした。報道の電子化によって、アメリカで新聞社が倒産、廃刊に追い込まれていることを、憂慮しておられます。
・・報道も出版も同じことだが、その最大の使命は情報を評価することであり、責任を持って選択した情報を世間に伝えることである。そのために新聞社も出版社も一定の権威を許されるべきであり、その権威を守るために社会の支援が与えられなければならない。
近代、権威主義への抵抗は時代の流行になったが、すべての権威がなくなれば文明は成り立たない。医療、教育、政治、法曹などどの分野を見てもわかるが、権威とは知的な分業のための社会制度である。これらの分野で誰が信頼できるかを、個人がいちいち事実に即して判断しようとすれば、頭に何万冊の人物興信録をつめこんでもまにあわない。
この選択を容易にするために国家は資格制度を設けているし、世間は評判というかたちで信頼の手引きをつくってきた。だが国家には腐敗の恐れもあるし、世間の評判には無責任に揺れ動く危険がある。そこで近代文明が発明したのが、ジャーナリズムであって、それ自体が権威である複数の新聞や雑誌が、情報を評価し取捨選択するという仕掛けであった・・
電子情報の氾濫が教えたのは、無限に多い情報は情報ではないという発見であった。また情報の価値付けについては、自然淘汰の法則は働かないばかりか、むしろ悪貨が良貨を駆逐するという現実であった。
今日の新聞の役割は社会的権威の是非はもちろん、日々の事件についてもその重要性を判別し、多忙な現代人が最低限でも知るべき情報を限定することだろう。専門分化の進む社会の中で、万人が共有すべき知識を選別することである。啓蒙とはいわないまでも、注意喚起が新聞の使命であり、そのためには熟達のプロが必要なのはいうまでもない。
出版も同じであって、編集者の仕事はまず筆者を選ぶことであり、原稿の主題と文体を評価することである。時流に反した言い方だが、言論の自由とは誰でも好きなことを好きなように書く自由ではない。電子出版はそれを可能にしたようだが、これは議長のいない大衆討議のようなものであって、言論が言論を打ち消しあう効果を招くだけだろう。出版社とプロの編集者は、真に自由で上質な言論の関守としてこそ不可欠なのである・・
いつもながら、鋭い見方ですね。

社会のリスクの変化と行政の役割

2010年8月21日   岡本全勝

月刊『地方財務』(ぎょうせい)で、2010年10月号から連載中。
2011年4月号で中断中。すみません。大震災というリスクの対応を実践しています。原稿は後回しです。

(目次)
はじめに-政府が取り組まなければならないリスクとは何か・・・2010年10月号
第1部 社会のリスク
第1章 リスクの分類-私たちを取り巻く新しいリスク・・・2010年11月号
1 リスクの分類
2 分類の視点
第2章 政府の対応-進む対策・・・2010年12月号
1 武力攻撃事態や災害への備え
2 事故や犯罪への対策
3 健康の危険への対策
4 社会生活の危険への対策
第3章 新しいリスクはなぜ生まれるのか-豊かさの影・・・2011年1月号
1 新しいリスクとは何か
2 科学技術が生む新しいリスク
3 豊かな社会の新しいリスク
第4章 政府の役割の変化-豊かさから安心へ
1 リスクに対する政府の役割・・・2011年2月号
2 個人の責任、政府の責任・・・2011年3月号
3 リスク社会と国家の変貌・・・2011年4月号

第2部 行政組織のリスク
第5章 自治体の危機管理
第6章 「行政の危機」を管理する

(連載の原稿)
今日は、頑張って、原稿を書き上げました。雑誌『地方財務』10月号から連載する予定の「社会のリスクと行政の役割」です。このホームページでも書いていましたが、日本大学法学部大学院で半年間講義をし、またいくつかの場所で講演をしました。それを、連載する予定です。乞うご期待。もっとも、長尾編集長の厳しい眼に、合格したらですが。
講義ノートはあるのですが、原稿の形にするには、労力が必要です。連載は久しぶりなので、勘を取り戻すのに、時間がかかります。本業でも講義がありますし、それ以外の講演や原稿も引き受けているので、なかなか時間が取れません。自分で、忙しくしているのですがね。(2010年8月21日)

月刊『地方財務』10月号に、拙稿「社会のリスクの変化と行政の役割」第1回が載りました。
近年、これまでにない社会のリスクが顕在化し、政府(中央と地方)は、対策を迫られています。大震災、テロ、ミサイル発射、製品事故、新型インフルエンザ、サイバーテロといった、生命・身体・財産への被害だけでなく、いじめ、引きこもり、自殺、セクハラ、虐待、無縁社会といった、人間関係のリスクも、大きな問題になっています。
また、かつて日本は、世界一安全で安心な国だと言われていました。しかし、国民の安心は揺らいでいます。なぜ、そうなったのか。それを生んだ社会の変化と、行政の役割について考えます。
内閣官房再チャレンジ室長や、総理秘書官を務めていた時に考えていた課題を、整理し直そうという試みです。日本大学法学部大学院で、春学期に講義したノートを基に、執筆中です。(2010年10月5日)

10月号を読んだ読者から、早速、お便りがありました。次のような趣旨です。
・・岡本校長の講義で聴きましたが、戦後50年で大方の行政サービスが出揃い、豊かになったからこそ発生したリスクも多いという気がしました。今後、どのように話が展開してくのか、大変興味を持っています・・
ありがとうございます。私が対象としているのは、現在の日本社会であり、日本の行政です。びっくりするような新事実を書く、わけではありません。しかし、「このような見方もあるのか」「そう考えると、わかりやすい」と言っていただけるような角度からの、分析をお示しできたらと考えています。励ましのメールを頂いたので、頑張って続きを書きましょう。(2010年10月6日)

連載「社会のリスクの変化と行政の役割」の11月号のゲラが届いたので、朱を入れて返送しました。長尾編集長が、まず朱を入れてから、送ってきて下さいます。間違いなく、私の原文が、読みやすく正確になっています。いつも、「なるほどねえ」と感心し、反省します。私は、かなり読みやすい文章を書いている、つもりなのですがね。
昔と違い、原稿の受け渡しはデジタルですから、校正も楽になりました。文章が落ちたりすることや、誤植はないです。原稿とゲラとの読み合わせは不要です。それでも心配なので、見比べはしますが。しかし、これで安心できず、12月号の原稿締め切りが、迫ってきます。(2010年10月15日)

今日は、『地方財務』連載12月号の原稿を、完成させました。今回は第2章で、新しいリスクに対する政府の対応を、具体的に並べました。元となる日大大学院での講義ノートはあるのですが、もう一度事実確認をすると、結構時間がかかりました。
その点、インターネットは便利ですね。これがなければ、それぞれの対策や法律を確認するのに、もっと多くの時間がかかり、とても間に合いませんでした。ミサイル防衛から共生社会まで、これだけの範囲のリスクと対応を一人で調べるのは、やや無理がありますね。しかし、私が得た知識や教訓、またこのような見方もあるのだということを、皆さんにお伝えできればと思って、頑張っています。
それでも、締め切りまでに編集長に送れば、一安心。でも、すぐに次の号の締め切りが来ますし、来月末締め切りの原稿をもう1本抱えています。(2010年10月24日)


連載「社会のリスクの変化と行政の役割」が載った、月刊『地方財務』11月号が発行されました。第2回目は、第1章リスクの分類-私たちを取り巻く新しいリスク-です。古典的な身体・生命・財産へのリスク(災害、事故、武力攻撃など)だけでなく、経済社会システムへのリスク(ライフラインの途絶、金融危機など)や人間関係(他者との関係、社会とのつながり)へのリスク(不登校、引きこもり、自殺、児童虐待など)まで範囲を広げて、近年の社会のリスクを整理しました。
インターネットにたとえると、古典的なリスクはハードウエアの故障です。机の上のパソコンが、金槌で叩かれたようなものです。二つ目の経済社会活動の混乱は、ネットワークの故障です。パソコンは正常ですが、光ファイバーがとぎれるか中継装置が故障して、インターネットがつながりません。三つ目の人間関係へのリスクは、コンテンツの障害です。パソコンもネットワークも問題がない、しかし画面では文字化けが起こって意味が通じません。
私の主張は、政府(中央、地方)は、この新しいリスクへの対応を迫られているということです。ご関心ある方は、お読みください。(2010年11月1日)

今日は、連載「社会のリスクの変化と行政の役割」12月号の、印刷原稿の校正をしました。出張中に、自宅にゲラが届いていました。ここまでは順調なのですが、ほっとしておられません。容赦なく、次の締め切りが追いかけてきます。パソコンと基礎データを中国に持っていったのですが、時間が取れず、そんなには進みませんでした。出張先のホテルで書こうという魂胆が、間違っていますよね。(2010年11月13日)

(ウルリッヒ・ベック氏)
11月11日の朝日新聞夕刊が、ウルリッヒ・ベックさんの来日を、取り上げていました。ベック氏は、ドイツの社会学者で、著書『危険社会』で有名です。
彼の主張するリスク社会論は、多岐にわたるのですが、私はそのうちの「近代後期の個人化」に、大きく影響を受けました。最近、講義し連載している「社会のリスクの変化と行政」は、それを基にしています。(2010年11月16日)

連載「社会のリスクの変化と行政の役割」1月号の原稿を書き上げ、長尾編集長に送りました。ネパール出張の飛行機の中、カトマンズのホテルで、精を出した甲斐がありました。旅先では確認できなかった点を調べて、今日完成させました。
例によって、ある文章をあっちへ持っていったり、こっちとくっつけたり。小さなか所で行き詰まってみたり。あれも書きたい、これも書きたい、でもバランスを失する。良く書けたと思っても、全体を通してみるとすわりが悪く、ばっさり削ったり、と悩み続きの執筆でした。締め切りが来たので、このあたりで手放します。
今月締め切りの原稿が、もう1本残っています。そろそろ、年賀状の苦行にも、着手しなければならないし。(2010年11月27日)

連載第3回が載った、月刊『地方財務』(ぎょうせい)12月号が発行されました。今回は、第2章「政府の対応-進む対策」です。第1章で取り上げた様々なリスクに対し、中央政府と地方政府が近年充実した対策を、解説しました。
法律や事実を確認するのに、結構な手間がかかりました。ご関心ある方は、お目通しください。また、「これが抜けている」といったものがあれば、御指摘下さると幸いです。(2010年12月4日)

連載「社会のリスクの変化と行政の役割」第4回が載った、月刊『地方財務』1月号が発行されました。今回は、第3章「新しいリスクは、なぜ生まれるのか」です。第1章と第2章は幅広い事実の整理でしたが、第3章からはそれらの背景を分析します。
近年、リスク論や危機管理論が流行する背景には、新しいリスクが増えたことがあると言われます。しかし、よく見ると、古くからのリスクが再認識されたり、社会のリスクに「格上げ」されたものもあります。
それらを除いて、新しいリスクが生まれる原因は、一つには科学技術の発達であり、もう一つは豊かな社会が生む新しい不安です。それを、解説しました。ご関心ある方は、お読みください。「ふ~ん、こんな見方もあるのか」「そうか、こうなっているのか」と思っていただければ、うれしいです。
2月号の原稿は正月休みに書き上げ、編集長に送って、一安心。しかし、編集長からは、「3月号の原稿は、今月末が締め切りです」と、温かい言葉(!)を頂きました。はい。(2011年1月5日)

連載『社会のリスクの変化と行政の役割』3月号原稿を、昨日書き上げて、編集長に送りました。先日、2月号の原稿を渡したばかりなのに、すぐ1か月が経ってしまいます。
2月号から、第4章「政府の役割の変化」に入っています。3月号は、個人の責任と政府の責任を、いろんな角度から解説しました。オリジナルなことはそんなに書いていないのですが、行政学、福祉論、法学、経済学、心理学などのこれまでの知見と、日本の現状・具体例を広い視野から整理しようと試みています。管見では、そのような視点から整理したものが見あたらないので、結構「時間と体力」が必要です。
いろいろと書きたいことが浮かんできて、2月号は第1節だけで分量を超過。3月号も第2節だけで、分量をはるかに超過。第3節は、4月号に先送りしました。2月は28日しかないので、すぐに次の締め切りが来ますね。

GDPの軌跡と諸外国比較

2010年8月20日   岡本全勝

さらに、2009年まで、数値を新しくしました。今回は、自治大学校の猪鼻教授につくってもらいました。従来の形を少し変え、日本、アメリカ、韓国、中国の4か国の軌跡を、載せることにしました。かつてなぜ日本が一人勝ちできたのか、そして近年そうでなくなったかが、わかるようにです。


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