年別アーカイブ:2010年
アメリカ、公共施設の民営化と売却
25日の読売新聞が、提携しているアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事(8月23日付け)を紹介していました。「公共施設 For Sale 」です。アメリカの州や地方自治体が、空港から動物園まで、あらゆる公共資産の売却を進めている、という内容です。庁舎、水道事業、公営駐車場などです。原文はこちら。
このホームページでも書きましたが(「国家観の違い」2010年6月29日)、ここには、アメリカ流の社会観が背景にあります。すなわち、社会のあらゆる組織機構と同じく、国家機構もまた、社会(一般国民)が自らの必要のためにつくったものです。官と民の間に、垣根がありません。これに対し、近代ドイツ国家学では、社会は弱肉強食、カオスの世界であり、中立公正な国家が弱者を救済し、秩序を保たなければならないと考えます。官(国家)と民(社会)が峻別されます。日本もこれまで、このような考え方でした。
しかし、日本が後進国から成熟国家になることによって、官が民間を主導して先進国に追いつくという構図は終わりました。また、公共施設や公共サービスは、それ自体は、公平かつ滞りなく供給されるように、官が監視する必要がありますが、供給行為自体は官がする必要はありません。象徴的な例が、国鉄の民営化であり、介護保険サービスの民間事業者との契約制です。
登山保険
先日、山の遭難に備え保険にはいるべきだと、書きました(山岳遭難の救助費用負担。8月12日)。25日の読売新聞家計欄が、登山保険を解説していました。「万一、山で遭難した際に備え、救援の費用を保障する保険」です。
・・民間救助ヘリを養成すると、1日数十万~100万円以上かかるという・・
詳しくは、原文をお読みください。
観光客数
これも古くなりましたが、18日の日経新聞経済教室、額賀信さんの「観光立国。訪日外国人数、高い目標を」が、興味深かったです。
2008年度の訪日外国人数、は777万人でした。政府は、これを2020年初めまでに2,500万人に伸ばすことを、目指しています。10年間で、約3.2倍です。結構な伸び率です。ところが、額賀さんは、この目標では少ないと、主張されます。
・・2008年に国際観光到着数が世界で最も多かった国はフランスで、その数は7,930万人。第2位以下は、米国(5,803万人)、スペイン(5,732万人)、中国(5,305万人)の順で、さらにイタリア(4,273万人)、英国(3,019万人)が続いている。このうちフランスとスペインは、国内人口を上回る国際観光客を受け入れている(2009年版国際観光白書)。
これらの国々の国際観光収入はまた、いずれも巨額である。世界最大の国際観光収入を得ている米国では、2008年で11.3兆円を稼いでいる。以下、スペイン6.3兆円、フランス5.7兆円、イタリア4.7兆円、中国4.2兆円と続いている(国際旅客運賃を含まないベース)。同じ基準によるわが国の国際観光収入は、同時期で1.1兆円と中国の約4分の1にとどまっている。アジアの中では、中国だけでなく、タイ、香港、マレーシア、マカオ、インドにも負けている・・
として、「日本の人口を考えて1億人を目標とすべきである」と主張しておられます。
知的財産戦略
16日の日経新聞経済教室は、秋元浩さんの「生命科学の知的財産戦略」でした。
・・日本の生命科学(ライフサイエンス)研究は、山中伸弥・京都大学教授の新型万能細胞(iPS細胞)研究に象徴されるように、世界のトップレベルといっても過言ではない。しかし、研究は優れていても、実用化・産業化という面では欧米の後塵を拝していることが多いのではないだろうか。日本は、研究開発と並んで重要な知的財産戦略・事業化戦略に問題があるように思われる・・
医薬品産業では、新薬の研究開発に平均15年以上の時間と数百億円の先行投資を要する。そして新薬として発売される成功確率は研究開始時点から見ると数万分の1と著しく低い。にもかかわらず、その新薬はたった1件の物質にかかわる特許で保護される可能性がある・・
生命科学の知財戦略では、グローバルな視点も重要になる。経済活動も科学技術研究もグローバル化がますます進む一方で、知的財産制度は依然として各国の産業政策に基づく属地主義的要素が強く残り、国によって異なる部分も多い。生命科学分野の企業にとって、経営戦略や研究開発戦略と並ぶくらい知的財産戦略が極めて重要である理由の一つは、日本と米国の特許制度の違いに起因する・・
2007年に人の皮膚細胞からiPS細胞を創成するという画期的な発明が山中教授により発表され、これを契機に、我が国全体(オールジャパン)として研究と知財のコンソーシアム体制をつくろうという動きが始まった。研究のコンソーシアムについては山中教授を中心にオールジャパン体制が構築された。しかし、知財の総合プロデュース機能を有する知財コンソーシアムについては、内閣の知的財産戦略本部が2008年6月に開いた第20回会合においてその必要性は承認されながらも、国としての支援体制は実現するには至らなかった・・