(グローバルな政治家を育てる)
7月10日の朝日新聞オピニオン欄は、「グローバルな政治家とは」でした。「経済がグローバル化して、経済危機も瞬時に世界に波及する時代。政治家の選び方も、これまでとは違った視点が必要なのだろうか・・」として、3人の方の意見が載っています。
内容は読んでいただくとして、私が感じたのは、「ようやく、このような議論が、新聞でされるようになった」ということです。
戦後日本は、アメリカやヨーロッパがつくってくれた、「自由貿易体制」と「世界平和(冷戦)」の下で、それらにほぼただ乗りをして発展しました。政治家も官僚も研究者も、世界の政治経済を構築するのに力を発揮せず、国内でのみ活躍しました。国際派と呼ばれる人もおられましたが、それも多くは輸入することであり、国際貢献ではありませんでした。
世界で活躍するといった場合、国際機関で働くだけでなく、日本政府・関係機関であって国際貢献するということがあります。特に後者が重要でしょう。そして、それらの人は国内政治を考える時も、世界を意識しながら考えるということです。国際貢献も、自衛隊を海外に派遣するだけでなく、国際ルールをつくる際にリーダーシップをとるということなどです。
総理秘書官を務めた際、ちょうどリーマンショック直後の世界金融危機・同時不況の時であったので、世界各国の日本に対する期待と、日本が国際社会で果たさなければならない役割の大きさを、実感しました。逆に、日本の政治と言論が「内弁慶」であることも実感しました。
あのときは、1929年の大恐慌を繰り返さないために、日本も例のない規模で財政出動するので、各国も足並みをそろえて欲しいこと。経済ブロックを作って囲い込んだことが大恐慌をひどくしたので、今回はそうならないようWTOを進めること。金融危機で中小国が破綻しないように、IMFの貸付枠を拡大する、そのために日本は真っ先にIMFに対し1,000億ドルの融資を行うこと。この3点を提案実行し、各国の同意と協調を得ました。
もっとも、国内には、それらを議論する場や政策共同体がないので、多くの国民は知りません。マスコミの政治部、官邸詰めの記者さんたちも「関心」がなく、理解してもらえませんでした。よって、大きな記事になりませんでした。
世界で活躍する、世界に貢献できる政治家や官僚を育てるためには、国内にそのような場が必要です。それは国会の場であり、研究機関であり、専門誌です。そして、それを理解してくれるマスコミも必要です。