年別アーカイブ:2009年

久しぶりの講演

2009年12月2日   岡本全勝

今日は、午前中に、大学校で講話。夕方からは、日本大学法学部で講演をした後、先生方の研究会に出席しました。「暮らしのリスクと行政」という題で、現在の仕事である消防と、これまで私が経験したあるいは考えてきた「社会のリスクとそれに対して行政はどう対応してきたか」を、お話ししました。この10年間、あるいは阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件(1995年)を含めると15年間で、リスクと考えられる範囲が広がりました。それに対し、行政はかなり対応してきました。具体事例をふんだんに盛り込んで話したので、学生さんの「食いつき」も良かったです。鋭い質問をしてくれた3人の学生さんには、お礼を言います。

もう12月

2009年12月1日   岡本全勝

あっという間に、12月になりました。日にちが経つのは、早いですね。
12月といえば、年賀状。すでに印刷は終えたのですが。夜は毎晩予定があり、週末もいろいろと予定が入っていて・・。

組織の失敗・続き

2009年11月30日   岡本全勝
昨日の続きです。
失敗学の中でも、私が関心のあるのは、組織の失敗です。企業や官庁です。広く捉えれば、国家、政治、軍隊などもあります。
組織の失敗には、いくつかの場面があります。一つは、アウトプットの失敗です。企業であれば、商品やサービスが売れなかったこと。それも、事故を起こしたとか不具合があったということではなく、社会で認められなかったことです。欠陥品でないのに、なぜ売れなかったかです。
行政の場合は、商品に当たるのが政策です。政策の場合は、市場競争がなく、売れる売れないという「ものさし」がありません。その政策が効果を上げたかどうかで、判断するのでしょう。あまり使われずに廃止された施設は、これに当たります。もっとも、ソフトな政策は、効果を上げたかどうかの評価は難しいです。
もう一つは、組織全体の失敗です。会社が倒産する場合などです。もちろん、商品が売れなくて、会社が倒産する場合もありますが、個々の商品の失敗とは区別しましょう。行政の場合は、倒産という「ものさし」がありません。別途、評価をしなければなりません。これが難しいのです。
前者は個別問題であり、後者は全体問題です。いずれにしても、組織の目標を達成できなかった場合です。
さて、「戦略の失敗」という表現がされますが、次のような要素に、分けることができると思います。
一つは、「課題の認識」です。
企業の場合は、どのような商品やサービスを売るのか。今の商品ではいずれ売れなくなるので、どのような新しい商品を開発するのかです。企業は、日々、競争にさらされているので、この検討は必死です。一方、行政の場合は、この点がおろそかになります。「坂の上の雲」(明治国家建設)の場合は、世界の大勢に日本が遅れている、このままでは植民地になるという危機感が、課題の認識になりました。
私がことさら、「課題の認識」を一番の要素に取り上げるのは、成功した組織がその後失敗するのは、課題の認識をおろそかにするからです。ヒット商品にあぐらをかいて、その後負けた会社。日露戦争に勝って、その後の失敗に落ち込んだ日本海軍と日本国。経済成長に成功して、その後停滞した現在の日本と行政。そして、社会が変化していることを認識し、これからも変化することを予測する必要があるのです。
二つ目は、「対策」です。
「戦略の失敗」と呼ばれることは、ここに当たります。課題に対して、対策を立てる。戦略と戦術です。もちろん、この適否が、成功するか失敗するか、成否を分けます。
三つ目は、「責任者」です。
課題はわかっている。対策もわかっている。なのに実行できない。そのような事例は、ままあります。
戦略を実行するには、困難が伴います。資金が潤沢にあり、職員も優秀、時間もたっぷりある、技術も万全。なんてことは、まずありません。限られた資金と職員を集中させることが、必要になります。それ以外の部門を切り捨てる、後回しにする必要があるのです。優先順位をつける。そして劣位の部門を納得させる。これが難しいのです。責任者の「意思」「決断」「説得」。これらが、重要になります。民主主義の場合は、有権者の理解が必要です。故に、民主主義の場合は、大きな改革が困難となります。
このほかに、組織の失敗としては、事故を起こした場合、欠陥商品を売った場合、職員が不祥事を起こした場合、職場がうまく運営できていない場合、さらには下位組織が目標を達成できない場合、などがあります。これらも、組織にとっては重大なのですが、これらは「戦略の失敗」ではなく、「内部管理の問題」です。もちろん、両者はつながっていることが多く、分別できないこともあります。

失敗学

2009年11月29日   岡本全勝

知人に教えてもらって、森谷正規著「戦略の失敗学― 経営判断に潜む「落とし穴」をどう避けるか」(2009年、東洋経済新報社)を読みました。「組織の失敗」は、私のライフワーク?の一つです。経営学の教科書や成功した人の伝記も参考になるのですが、失敗事例も勉強になります。先輩の成功談や武勇伝とともに、失敗談は、後輩には役に立ちます。
有名なものでは、戸部 良一ほか著「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」(1984年、ダイヤモンド社。中公文庫に再録) があり、日本軍の失敗についてはいくつもの本が出ています。しかし、これは軍隊での話であり、また半世紀以上も前のことです。最近では、畑村洋太郎先生が、「失敗学のすすめ」(2000年、講談社。講談社文庫に再録)などで、失敗学を唱ておられます。ただし、主に工学の分野です。
「戦略の失敗学」は、戦略の失敗という観点から、いくつもの具体事例を取り上げています。良い製品なのに売れなかった、成功していた分野で負けてしまった、というような例です。薄型テレビ、半導体、携帯電話など。そして、企業の失敗や、政治での失敗も取り上げています。
かつて、NHKに「プロジェクトX(エックス)」という、好評番組がありました。困難な課題に打ち勝って、成功した物語を取り上げた番組です。本にもなっています。当時、成功だけでなく、失敗した事例を取り上げる「プロジェクト×(ペケ)」があればと、思ったものです。しかし、失敗事例は、関係者もしゃべりたくないでしょうから、番組や本にするのは難しいでしょうね。成功談は読んでいても楽しく、失敗談は元気が出ません。しかし、リーダーにとっては、失敗事例こそ勉強しておかなければならないことです。行政の世界でも、事故の原因調査報告書は出されますが、自らの組織がやった施策の失敗は、調査報告書が出されることは希です。
具体事例が、わかりやすいです。しかし、そこから教訓を引き出す必要があります。ところが、あまりに一般化すると抽象的で、これまた役に立たなくなります。

美しい日本

2009年11月28日   岡本全勝

毎日新聞のサイトで、「2009年 空から見たニッポン」というページを、見つけました。美しい日本の自然や街を、空から撮った写真です。
きれいですね。一度ご覧ください。でも、100枚以上あるので、じっくり見ると、時間がかかりますよ。
私は、「新地方自治入門」で、醜い日本の街角や、絵はがきにならない風景を批判しました。ここには、きれいな風景が並んでいます。もっとも、これらの写真の多くも、面ではなく、点のものが多いようです。