問題の事後分析

22日の日経新聞経済教室は、植村信保さんの「生保経営、統治向上急げ」でした。1990年代の生命保険会社の破綻を調査し、その原因を分析したものです。97年から2001年までの間に、7社が破綻し、総資産では10%以上になるのだそうです。
・・平成の生保破綻は、バブル崩壊後の厳しい経済環境の中で発生した。このため、バブル崩壊による株価下落、80年代の高予定利率の貯蓄性商品の集めすぎ、不十分な行政当局の監督など、破綻は構造的な問題で、個社の経営努力ではどうしようもなかったという見方が根強いようだ。
だが、今回の分析で浮き彫りになったのは、バブル崩壊などの外的要因が生保経営に与えた影響も決して小さくはないが、会社が破綻に至るにはビジネスモデルや経営者、経営組織といった、その会社固有の内的要因が重要な意味をもっていたということだ・・
として、経営者の問題、経営陣の問題、リスク管理体制の問題などを指摘しています。
・・なお、経営チェック機能として当時の大蔵省の力は非常に大きく、各社の経営陣に「最後は大蔵省が何とかしてくれる」という幻想を抱かせた。実際は経営内容の悪化した生保に介入した例は少なく、結果的に破綻を回避させるほどの指導力を持たなかった・・
イギリスでは、2000年に世界最古の生保会社が実質破綻したことを受け、2004年に独立調査委員会が、同社の経営責任を追及する報告書を発表し、破綻要因を詳細に分析したそうです。日本ではなされていないので、植村さんが取り組まれたとのことです。
問題が生じた時に、それに対処することも重要ですが、後でそれを分析し、将来の教訓にすることも、行政の重要な任務だと思います。