官僚制、無責任の体系

大連載「行政構造改革」で、官僚の欠点を考えています。思い出して、丸山真男先生の「軍国支配者の精神形態」(1949年、『増補版 現代政治の思想と行動』1964年、未来社所収)を、引っ張り出しました。
それは、官僚制の無責任です。丸山先生は、東京裁判(極東軍事裁判)で被告人(太平洋戦争の指導者)の発言を分析し、首相や大臣など戦争指導者の指導力と責任意識の欠如について、「無責任の体系」と名付けました。
それは、「既成事実への屈服」と「権限への逃避」によって、成り立っています。前者は、「既に始まってしまったことだから仕方ない」といって、既成事実に流されることです。これは、方向転換できない官僚制の欠点と、同じと言っていいでしょう。
後者は、「法規上の権限はありません」「法規上困難でした」といって、専門官僚に逃げ込むことです。官僚制あるいは官僚的行動が無責任に陥った、最大の実例です。
そこではまた、国策の最高方針を決定する御前会議や最高戦争指導会議などの、討議の空虚さも指摘されています。そこでの討議内容は、あらかじめ部下である軍人官僚によって、用意されているのです。
もっとも、この事例は官僚制の欠点ではなく、政治家と軍人が官僚的に行動したものです。