社会の変化とお金の流れの変化

構想日本の、J.I.ニュースにある「金融の自治・分権で新たな公共の担い手を」の図を見て、考えました。
日本には金融家計資産が1,555兆円あります。ニュースで「1500兆円の資産」と言われるものです。その図では、これまでの金融は銀行任せの間接金融で、企業に回っていました。一方、財政・税制は国任せで、それが地方団体に補助金として交付されます。記事では、これを地産地消に変えようと主張しています。銀行や国に任せず地域で決定し使うこと、間接金融から直接金融へ変えること、企業だけでなく地域の起業家やNPOにも回すことです。
私が考えたのは、発展途上国から成熟国への変化が、お金の流れの変化にも現れるということです。
まず、みんなの貯蓄した資金は、産業振興や社会資本整備に使われました。銀行に預けた金は、製造業を中心とした企業に流れました。生産優先です。税金も、公共事業など社会資本整備につぎ込まれました。この他、郵便貯金は、政府の財政投融資にまわり、これまた産業振興・社会資本整備に投入されました。
次に、資金の中央集権です。銀行や郵便局に預けた金と税金は、地域で使われず、中央に集められ配分されました。
この仕組み・流れは、効率的でした。しかし、生産振興優先時代が過ぎ、変化が進みつつあります。日本興業銀行がなくなったこと、財政投融資が縮小し、郵便貯金が民営化されたのは、その象徴です。税金の分権は、移行途上です。
また、家計からすると、銀行や郵便局に預けるだけでなく、自らの判断で、より運用益の上がる商品を選ぶ時代になりました。それは、リターンも増えますが、リスクも増えます。あなた任せでなく、自己判断と自己責任が求められます。もっとも、それが嫌な人は、金利のつかない銀行預金を選ぶでしょう。
税金についていえば、その使い道について、納税者の発言が強くなるということです。政府や市役所に任せきりでなく、どこに使われるかを監視するということです。その際、国にいったん集めるのではなく、税金を地産地消することで、より発言しやすくなります。また、税金として納めるのではなく、寄付によって、自らの意図を実現する方法も広がるでしょう。