分権へのあしたへ

朝日新聞夕刊のニッポン人脈記、「分権のあしたへ」が完結しました。
分権推進法ができてから10年、第一次分権改革に引き続き、三位一体改革を成し遂げました。もちろんまだまだ不十分ですし、10年かかってここまでしか進んでいないのか、という批判もあります。しかし、戦後50年間に、強固に作り上げられた「この国の仕組み」を変えるには、大変なエネルギーがいるのです。そして、それは現在の政治権力への挑戦なのですから。
この連載に登場された政治家・学者・地方団体関係者や、ここに登場しなかった人々の努力のおかげです。もちろん、首相・総務大臣らのレーダーシップや、時代の背景も重要な要素でした。マスコミの支援もありました。
さて、次なる改革には、理論・戦略・エネルギー、世論の後押しなどなど、いろんな要素が必要です。そして、まだ十分登場していない「住民の力」が必要でしょう。私たちは、それを組み立てなければなりません。放っておいては、この改革は進みません。
欧米先進国に追いついた日本、その過程で中央集権システムにとことん染まってしまった日本。この延長線上には、発展と幸せはありません。地方分権は、この国のかたちを変えることであり、日本の新たな発展のための仕組みを作ることなのです。数年前には、このような連載は考えられなかったでしょう。「地方分権」「税源移譲」はスローガンや理論であっても、現実ではなく実績もなかったのです。近い将来の実現可能性も、関係者のほとんどは信じていなかったでしょう。坪井ゆづる論説委員、ありがとうございました。