三位一体改革42

30日の読売新聞は「国・地方協議の場作り難航、三位一体改革での義務教育費、生活保護費」を詳しく伝えていました。「義務教育費の自主財源化を目指す地方側が、中教審にも足場を築いて発言権拡大を狙おうとしているのに対し、文科省がこれを阻止しようとしている格好だ」。
ある記者さんとの会話
「中央教育審議会は文科大臣の諮問機関(文科省の一組織)ですから、よほど地方ががんばらないと、文科省の『言うとおりの結論』になりますよ」「文科省の意向に逆らった結論を出したら、文科省は怒るでしょうし、委員は次回から任命されないですよね」「審議会というのは、そういうものです」
たぶんこれからの審議を、新聞がウオッチしてくれると思います。この「予言」が当たるか、注目しましょう。(1月31日)
月刊「地方税」(地方財務協会)1月号に、板倉敏和総務省自治税務局長の「17年度税制改正と今後の地方税の課題」が載りました。
そのうち、特に「これからの分権の方向と地方税の展望」が参考になります。先日このHPに書いた「多くの人が住民税の方が所得税より大きくなる」ことや、「国地方の関係」「分権による国の活性化」が書かれています。(1月31日)
昨日書いた中央教育審議会の人選について、1日の読売新聞と産経新聞が大きく書いていました。「地方枠2 異例の空席、文科省と対立」です。3人の委員を要求した地方側に対し、文科省は2を譲らず、2人分を空席のまま残りの委員を任命しました。でも、この28人を見ても、義務教育の現場を知っている委員が、1~2人しかおられないようですが・・。(2月1日)
2日の朝日新聞「私の視点」には、千田兼蔵元横手市長が「三位一体改革、地域市民政治の始まり」を書いておられました。
「政府の全体像は不十分きわまる内容であった。しかし、今まで国政の基本方針について、地方自治体全体が国と四つに組んで戦ったことがあっただろうか」「三位一体改革は、単なる地方分権をめぐる攻防などではなく、明治以来の中央官僚政治が、地域市民政治に転換する大激動の始まりと解すべきではないか」「では、平成維新の原動力はだれか。それは、・・」続きは、原文をお読みください。ポイント押さえた、素晴らしい論文です。市長さんは、現職の時も論客でした。
東京新聞は「闘う知事会の行方、国にノー流れできた。地方から変わろう、親睦会に戻れば謀反」を2ページにわたって解説していました。(2月2日)
2日に、民間有識者らによる「日本再建のための行革を推進する700人委員会」が、「今、なぜ三位一体改革か」というシンポジウムを開催しました。今日の日経新聞などに出ていました。こうして世論を盛り上げていただくのは、ありがたいことです。また、三位一体改革が日本再建の重要なカギであることも、認知されているということです。(2月3日)
政府が実施した「郵政民営化に関する意識調査」(資料の7ページ目)では、政府が取り組むべき重要課題は、1位が年金・福祉改革、2位が景気・雇用、3位が治安・防犯・防災でした。以下は、4位財政改革、5位教育改革、6位特殊法人改革、7位外交・防衛、8位郵政民営化、9位規制改革、10位三位一体改革の順でした。
もっとも、この調査はインターネットを利用したもので、テーマは郵政民営化、回答者は2千人余りです。どこまで国民全体の意識を反映しているかについては、疑問があるでしょう。
けれども、結構いい結果になっているのではないでしょうか。国民が今何を不安に思っていて、政府に何を期待しているか。郵政民営化の調査なのに、当該項目が8位です。
三位一体改革が10番目というのは、こんなものですか。この改革は、国民の生活に直ちには影響しません。また、順調とはいえないけれど、他の項目に比べれば進んでいますから。10項目のうち、政府が取り組んでいて、進んでいるのは、三位一体改革が1番でしょう。(2月6日)
全国知事会長選挙が、始まりました。6日も朝日新聞が、大きく解説していました。考慮される要素は、「改革を進めることができる人」、また麻生大臣が4日の記者会見で述べたように「まとめる才能がある人」でしょう。
このページでも取り上げましたし、各紙が書いているように、知事会と知事会長の役割は、この2年の間に大きく変わりました。会長選びが、これだけ注目されたのは、初めてです。それも、ポスト争いでなく、これからの政治改革が進むかどうかとして、注目されているのです。地方団体以上に、中央政界が関心を持っています。(2月6日)
7日の読売新聞では、青山彰久記者が「全国知事会、闘う集団強さともろさ」を解説しておられました。
「『知事たちのサロン』に過ぎなかった組織が、いまや霞が関や永田町にとっては『やっかいな組織』へと変貌した」「知事会を支えてきた構造の一つは、知事を国の出先機関のように組み込んだ集権行政の仕組みだろう。もう一つは、従来の自民党政治システムだ。経済成長で得た税収を基に全国へ補助金や公共事業を配って・・」「組織に変化の兆しが現れたのは・・・」「今後は、・・国に圧力を加えるだけでなく、責任ある政策提言の力が必要となる」
戦後日本の政治構造から分析した、読み応えある論文です。ぜひお読みください。(2月7日)