日本は、明治維新以来、近代国家をめざして、いろんな制度や社会資本を整備してきました。また、第2次大戦後は、経済発展をナショナルゴールとしてがんばってきました。その際に官僚に求められたことは、欧米先進諸国から制度を輸入し、日本中に行き渡らせることでした。そして、日本の官僚はそれに成功し、日本社会も豊かになりました。
すると、官僚の仕事も変わったのです。これまでの仕事のやり方は、簡単に言うと、外国から「輸入」すること、先輩が作ってくれた制度を「拡張」することでした。しかし、それらを達成しあるいはメドをつけると、官僚に期待されることは、社会に生まれてくる新しい問題を拾い上げること、また社会を変えていくために制度を創造することに変わったのです。
先に述べた総務省の法案は、いずれも先進諸国から「輸入」できるものではありません。また、これまでのようなハードウエアでなく、新しいソフトウエアです。21世紀の日本の官僚には、20世紀の官僚とは違ったことが求められるのです。詳しくは、拙著「新地方自治入門―行政の現在と未来」(時事通信社)をご覧ください。