米国まめ日記10

カリフォルニア州知事選挙
 10月7日に行われたカリフォルニア州の知事リコール投票&知事選挙の結果、現職だったデービス知事(民主党)のリコールが成立するとともに、後任知事として映画俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏が選出されました(ちなみに、今回の現職知事のリコールは、1921年にノースダコタ州で成立したのに続き史上2度目だとのこと)。
 今回の現職知事のリコール運動は、カリフォルニア州の電力危機、巨額の財政赤字等に対するデービス知事の「無策&愚策」に対する住民の不満が蓄積していた中、カリフォルニア州知事に色気を見せる共和党のダリル・カイサ下院議員により始められました。
 リコール運動の結果、約160万の署名が集まり、10月7日のリコール投票&知事選挙が設定されたのでした。
 カリフォルニア州では知事の前回の選挙の得票数の12%の署名を集めればリコールが成立するらしく、今回の場合、約90万の署名でリコールが成立することとなっていたそうです(日本に比べリコールの垣根は相当低い?)。
 今回の知事選挙には、8月9日の締切日までに135人(!)の立候補者が届け出ました。ある報道によれば、247人が届け出たが112人は書類不備で不適とされたとのこと。ちなみに、「3500ドル(約42万円)の保証金と65人の推薦があれば、立候補できる」とのこと(日本と比べ立候補の垣根は低い?)。
 その中には、シュワルツェネッガー氏、現職副知事のブスタマンテ氏(民主党)、マックリントック上院議員(共和党)などの有力候補者とともに、人気ポルノ誌『ハスラー』の創刊者ラリー・フリント氏(61)、「巨乳候補」のアンジェリンさん、ホームレスなども含まれていました。
 このまま選挙戦がスタートし、10月7日に投票が行われるのかと思っていたところ、この投票に対し、異議をとなえる訴訟が提起されました。
 「誤りの多いパンチカード方式では、ちゃんとした選挙ができない(2000年大統領選挙のように・・・)」と主張する「全米自由人権協会」が提起したもので、この主張を一審の連邦地裁は支持、一端は投票日が来年3月以降になるかと思いきや、連邦控訴裁がこれを覆し、予定通り10月7日に選挙が実施されることになったのでした(連邦控訴審判決が出たのは9月23日)。
 セクハラ・スキャンダル、政策の不明確さに対する批判等にもかかわらず、リコール選挙の結果、アーノルド・シュワルツェネッガー氏が次点の候補に100万票以上の大差をつけて知事に選出されました。立候補者締め切りの際には、「米国の民主主義も極限まで来てしまった」と報じるメディアもありました。
 しかし、私はこの結果を見ても、「アメリカ人ってほんとバカだなあ」とは思いませんでした。少なくとも私は、米国人は、単なる有名人だということでシュワルツェネッガー氏を選んだのではなく、「「既存の政党に任せていては何も変わらない」から、しがらみのないこの(有名)人にとりあえずやらせてみようか」と考えたのではないか、それはどっかの国の状況と同じだねと思ったのでした。
 ちなみに、知事選挙の後に公表されたニューズウィーク誌の世論調査結果によれば、「政治経験のない有名人が全国レベルで政治に関与することは国にとって悪いことだ」と考える人は56%に上るとのことです。