日経新聞、大震災復興事業の検証。予算総額

2月8日の日経新聞1面に大きく「震災10年、空前のインフラ増強 予算37兆円超」が載っていました。「東日本大震災10年 検証・復興事業①」とのことです。
・・・3月11日で東日本大震災発生から10年となる。地震と津波に加え、原子力発電所事故まで起きた未曽有の複合災害に対し、政府は37兆円超の予算を投じ復興を進めてきた。前例のない手厚い支援は功を奏したのか。復興事業を検証する・・・

大震災から10年が経つことで、各紙が検証記事を書いています。良いことです。政府が取った政策がよかったか、どこに問題があったかを、調べてください。そして、今後の教訓として欲しいです。
この記事が取り上げている、予算総額とその使い道も、検証対象の一つです。それぞれの事業は必要性があり、無駄には使われていません。その点では、会計検査では適切でしょう。その上で、次につなぐ教訓として、次のような視点を指摘しておきます。

東日本大震災では当初、どれくらいの復興復旧予算がかかるかわかりませんでした。被害総額は試算されましたが、それが政府の復旧事業対象となるわけではありません。インフラはどの程度復旧するのかの判断があり(今回は復旧以上に、復興道路が造られました)、がれき片付け経費、高台移転経費、産業復興支援などは推計の外だったでしょう。

復旧復興事業を進めて行くにつれて、予算額が確定していったのです。いわゆる積み上げです。
他方で、当初見込みで予算総額が仮置きされ、財源が手当てされました。復興増税を国民にお願いし、政府が保有する日本郵政の株式売却益を当てることとなりました。ひとまず必要な財源を、財務省は手当てしてくれたのです。その後の事業費増加についても、それぞれ財源手当てをしてくれました。だから、これだけの事業を実施することができました。

予算を使って行う事業である以上、予算額が上限になります。そしてそれは、財源裏打ちが必要です。次回このような大災害が起きたときに、この総額と財源をどう考えるかが、一つの要素となります。そして、予算額が無限でない限り、事業に優先順位を付けなければなりません。
それぞれの事業は必要であっても、どれを先にするか、あるいはどの事業はあきらめるかです。
東日本大震災では、その時点その時点で必要性を判断しました。走りながら考えたのです。それを積み上げたのが、この結果です。もし予算額に限りがあり、その中から選べと言われると、市町村長はたぶん、被災者支援、住宅再建、産業再開を優先し、インフラ復旧についてはその中で優先順位を付けると思います。
また、各集落を元に戻すのか、他の方法をとるのかなども、検討されるでしょう。これについては、別途書きます。この項続く
参考「復興事業の教訓