復興事業の教訓、人口の減少

大震災復興に長く携わったので、取材や講演、執筆の依頼がよく来ます。これまでの主題は、復興の現状と課題が多かったのですが、10年を迎えるに当たって、また津波被災地では工事がほぼ終了したので、主題が反省と教訓に移ってきています。
これまでは、問題の指摘や批判があれば、それにどのように答えるか、改善するかが対応でした。ここに来て事業が終わったので、次回への教訓をまとめることが必要になりました。1月21日の「シンポジウム 東日本大震災から10年」でもこの点に触れましたが、改めて説明しておきます。今回は、津波被災地復興について述べます。

いくつか批判と反省がありますが、主なものとして、次のようなものがあります。
・住民が戻っていない。町のにぎわいが戻っていない。
・巨大な防潮堤はムダだったのではないか。町づくり計画が過大だったのではないか。
これらについて、関係者と議論し、また講演会などで話をして、私の考えを整理してみました。
まず、住民が戻っていない。町のにぎわいが戻っていないことについてです。

次の図表は、津波被害に遭った岩手県沿岸部12市町村の人口の推移です。被災の約10年前(平成12年10月)、被災直前(平成22年10月)、被災10年後(令和2年11月)を並べてあります。右の表は、平成12年を100とした指標です。
岩手県全体では、100、94、86という減少ですが、沿岸部合計では100、88、74です。沿岸部は既に人口減少傾向にあり、かつて「10年で10%減る」と聞いたことがあります。その減少傾向がさらに加速したのです。この項続く