治療の選別

新型コロナウィルスの感染拡大で、病床の逼迫が伝えられています。この状態がひどくなると、治療の選別、すなわち患者のうち誰を優先して治療をするかが問題になるでしょう。いくつかの報道が、それを指摘しています。12月18日朝日新聞「コロナ感染者、増え続けたら… 誰に人工呼吸器、重い判断」、1月12日朝日新聞「治療の選別 始まった都市部

救急現場では、識別救急(医療トリアージ)という概念があります。患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うことです。たくさんの患者がいて、一度に全員の治療ができない場合に、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定が必要です。
普通の病院のように受付け順で治療を行うと、重症者が長時間放置されるということが出てきます。最重症者から治療を始めた場合には、その治療だけでほかの患者の治療ができなくなるといったこともあります。救命の可能性が非常に低い者よりも、可能性の高い者から順に救護、搬送、治療にあたるべきであるという考え方です。

問題は、この選別の基準と、それを行った医師などの責任です。10月5日の日経新聞「トリアージ 免責法制化を」が参考になります。一人一人の命はかけがえのないもので、比較することはできません。しかし、医療現場では、選別をしなければならない場合もでてきます。