働き方改革

連載「明るい公務員講座・中級編」で、働き方改革を取り上げる予定です。日本社会では、長時間労働が問題になっています。あわせて、労働者の生産性の低さも、問題です。G7各国の中では最低という調査もあります。一生懸命遅くまで働いて、成果が出ていない。これでは、踏んだり蹴ったりです。多くの公務員の職場でも、この傾向は変わりないでしょう。定時退庁できる職場もありますが。

私は、この問題を、仕事の仕方の改革として議論しようと考えています。日本の職場の特徴、全員一致、ボトムアップ型、前例踏襲といった仕事の仕方は、これまでの仕事には適合しました。そして、日本が世界先進国に追いつくことができました。しかし、その仕事の仕方が、新しい時代に不適合になりました。これを変えないと、長時間労働は変わりません。

もう一つ、社会的背景があります。職員に長時間労働を求める「風潮」です。かつては、会社勤めは「お気楽な職業」だったのです。私が子供の頃、植木等とクレージーキャッツは、「サラリーマンは、気楽な稼業ときたもんだ♪」と調子よく歌っていました。昭和の象徴である、人気漫画「サザエさん」でも、波平さんとマスオさんは、晩ご飯を家で食べています。
それが、昭和の終わりには「24時間戦えますか。ビジネスマン~ビジネスマン~♪」(栄養ドリンク、リゲインのコマーシャル)と、会社員に長時間労働を迫るようになりました。

そして、日本の労働慣行が、これを支えます。他国が職に就く「就職」であるのに対し、日本は会社に入る「入社」です。転職が比較的容易な海外と、転職が難しい日本。すると従業員は会社に忠誠を尽くします。濱口桂一郎さんは、これを「ジョブ型とメンバーシップ型」と表現して、うまく説明しています。『若者と労働』(2013年、中公新書ラクレ)、『日本の雇用と労働法』(2011年、日経文庫)。