復旧での統計の活用・2

岩手県では、復興計画の進行管理に当たって、「事業進捗」、「客観指標」及び「県民意識」に分けて調査し、管理しています。
すなわち、復旧の状況(アウトカム指標)として、主観的なものでは「県民(抽出)意識調査」と「復興ウオッチャー調査」を、客観的なものでは「インデックス調査」と「事業所調査」(後者は主観も含まれます)を行います。
事業の実施状況(アウトプット指標)としては、「事業進捗管理調査」を行っています。それぞれがどのような調査かは、ホームページで見てください。
これらを体系づけて、「いわて復興レポート」として公表する予定です(7月24日、専門委員会資料2-1)。
ここでは、アウトプットとアウトカムを区別し、さらにアウトカムについて主観的なものと客観的なものを区分して調査公表しています。
復興の現場でその度合いを見る場合には、「マクロな指標」と「ミクロな意識・感覚」の2つがあります。道路の復旧割合や鉱工業生産指数が前者であり、住民の満足度が後者です。前者は客観的ですが、後者は主観的になります。
たとえばマスコミ報道の場合は、この2者をどのように組み合わせるかが問われるのでしょう。
これに関連して、「地域の復旧」と「暮らしの復旧」という2つの視点があります。すなわち、インフラ、経済活動、サービス提供、さらには人口などの復旧指標が表しているのは、地域の復旧です。他方、個人や家庭の生活がどの程度復旧したかは、それぞれの個人の住宅再建、働く場の再開、収入と、教育や医療などの環境、ご近所とのつながりなどです。
これまで政府の統計などは、前者が主だったのではないでしょうか。もちろん、統計としては、提供者側の前者はとらえやすく、生活者側の後者はとらえにくいです。また後者には、客観的指標とともに主観的なものが大きくなります。
さらに、公共施設の復旧は行政の役割でしたが、個人の生活再建は個人の自己責任と考えられていたことも、その背景にあると思います。