シャンポリオン

事務局に、私が「シャンポリオン」と呼んでいる職員が数人います。私は毎日、何枚も指示書や会議に出す資料の骨子を、メモに書きます。愛用のサインペンや太めの万年筆でです。急いでいること、考えながら書いていることから、なぐり書きで、かつあっちこっちに文章が飛びます。矢印やら挿入が、たくさん出てきます。結果として、読解が困難なのです。時には、書いた本人ですら、読めないことがあります。もう一度書き直せばよいのでしょうが、時間がもったいないのです。
内部での指示書は、そのまま関係者に配りますが、会議資料などは、それをワープロ(パソコン)で、清書してもらいます。その際に、私の判別困難な文字を読み解く能力に優れた職員が、数人いるのです。
その職員たちを、「シャンポリオン」と呼んでいます。そうです。あのロゼッタ・ストーンに書かれた古代エジプト文字を解読した「シャンポリオン」にちなんでつけられた称号です。数人いるので、正確にはシャンポリオン1号、シャンポリオン2号、3号と呼ぶべきです。
名前を呼べばよいのですが、それぞれの職員も忙しくしています。そこで、私が「誰か、シャンポリオンさ~ん。お願い」と叫ぶと、その内の一人が、私のメモを取りに来てくれて、清書してくれます。しかも我が事務局のシャンポリオンさんは、元祖シャンポリオンより能力が高く、解読するだけでなく、間違いを直し、書かれていない文字まで補ってくれるのです。もちろん、関西弁も、東京語に変換してくれます(笑い)。
そして、私が早く出勤するので、一人は朝7時45分に出勤することが義務付けられています。ごめんね、Wくん、Sくん、Sくん、Kくん、Kくん・・、こんな上司に仕えて。