地方財政の仕組み・マクロ

1 地方財政対策
(1)地方財政対策の流れ
平成15年12月18日に、16年度の地方財政対策が決まりました。これは、地方財政全体の歳入歳出の概要を決め、財源不足がある場合には、その対策を決めることです。例年、国の予算の財務省原案が決まる2日前くらいに決まります。今年もそうでした。

例年と違うのは、今年は
①総理指示による、国庫補助負担金1兆円削減を決める必要があったこと
②それによる税源移譲を決める必要があったこと
です。①が12日に政府与党で決定され、②も17日に党税調で決まりました。

その他の国庫補助金額が財務省の査定で決まり、経済成長率と税制改正が決まると税収見積もりができます。そして、地方公務員数の見込み(来年度は1万人減)と国の補助金をもらわずに地方団体が行う事業(単独公共事業は9.5%減、事務費・施策経費も削減)を総務大臣が決めると、地方財政の歳入歳出の大枠がわかります。

16年度は、歳出規模は84.7兆円(1.5兆円減)で、それに対し収入が14兆円不足すると見込まれました。これを、国からの交付税財源の加算と地方債の増発で埋めることとしました。埋める方法は去年と同じです。この結果、地方交付税の総額は16.9兆円、1.2兆円の減となりました。

(2)地財対策の方法
工事中

2 地方財政計画
(1)地財計画(未定稿)
この後、国の予算の詳細が決まると、地方財政の見込みも数字を精査し、「地方財政計画」として、内閣から国会に提出します。これにあわせ、地方交付税の総額特例や単位費用の改定を決め、地方交付税法の改正法案として2月に国会に提出します。

(2)国の予算と地財計画
ほとんどの行政サービスは、地方自治体が行っています。国の予算の多くは一般会計で実施されるのではなく、地方財政計画を通して実施されます。また、国の予算をもらわずに地方自治体が実施するサービスもたくさんあります。国民には、国の一般会計より地方財政計画の方が、そして各市町村の予算の方が影響が大きいのです(拙著第4章)。
具体的には各市町村が、この数字を基礎に予算を作るのです。国の一般会計予算は「国の都合」であって、それがそのまま地方自治体や国民生活に影響するわけではありません。交付税の金額も国の一般会計の数字ではなく、実際に配られる金額(地財計画計上額)が意味があります。

3 自治財政局の仕事と地方財政の1年
各省と交渉して補助金の一般財源化を決めるのは、総務省自治財政局調整課の仕事です。地財対策を決め地財計画を作るのは財政課の仕事、そしてそれを交付税法に仕上げ、算定するのが交付税課の仕事です。

各地方自治体は、予算をつくり、3月議会に提案します。そして4月から、新年度が始まります。17年3月に、16年度予算が終わります。
出納整理期間が5月に終わり、地方団体が決算を作ります。それを議会に提出するとともに、総務省に報告します。全地方団体の決算を集計し分析して、「地方財政白書」をつくり、18年3月には国会に報告します。この作業は、自治財政局財務調査課の仕事です。
こうして、15年秋から始まった「16年度予算」の作業は、18年3月に終わります。