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大きなテーマを簡潔に説明する

書類や研究には、二つの方向があります。一つは、より詳しく、細かく掘り下げる方向です。もう一つは、広い視野で、かつ簡単に説明する方向です。難しいのは、後者です。もちろん、前者の基礎がないと、単なる思いつきや「独自の見解」になってしまいます。
先日、近藤和彦先生(元東大の歴史の教授)の「グローバル化の世界史」という文章を見つけました。ウイキペディアをたどっていて、「世界の一体化」の参考に出ていたのです。この文章は、講演録を専門誌に再録されたようです。高校の世界史教育についての部分と、グローバル化の世界史についての部分からなっています。
この文章を紹介するのは、グローバル化をきわめて簡潔に説明しておられることとともに、世界史が20世紀に入って書き直されたことを、これまた簡潔に説明しておられるからです。2002年の文章ですが、古くなっていません。詳しくは原文を読んでいただくとして、世界史の書き直しは、次の3点を挙げておられます。
1 国史(各国がどう発展してきたか)という枠組みから、より広い範囲の中で捉え直す。
2 王侯や将軍、戦争や外交といった権力者とエリートの歴史から、普通の男女の日常生活を扱う。
3 どの国も同じレースをたどるという「ロードレース史観」から、複線的な道筋へ。
先生は、『イギリス史10講』(2013年、岩波新書。上に紹介したウエッブの記述に紹介されながら載っていない図表は、この本に載っています)、『民のモラル: ホーガースと18世紀イギリス』 (2014年、ちくま学芸文庫)、『長い18世紀のイギリス―その政治社会』(2002年、山川出版社)などを書いておられます。

最近の記事を振り返る

今年から、「最近の記事」の目次を、残すことにしました。去年までは、1か月分を残して、削除していたのです。
4月から6月までの分が、「最近の記事2」に載っています。改めてこの目次を読んでみて、「いろんなことに言及しているなあ」と、我ながら感心しています。逆に言うと、焦点が絞られていないということです。一つの事実には、長所と短所、表と裏があります。
携わっている復興の仕事の紹介、日々の行政社会の出来事についての官僚としての考え、後輩達に伝えたいことから、マスコミに見る興味深いこと、へえと思う雑学(トリビアなこと。例えば、クレオパトラのワイン)、近所でカエルが死んでいたといった日記まで。個人のホームページなので、許してください。
一生懸命考えて書いた「行政学的なこと」より、日常のつまらない行動の方が読者の反応が大きいのが、残念ですが(笑い)。
それにしても、毎日よくこれだけ書き続けたものです。結構な分量です。日々お付き合いいただき、ありがとうございます。

我が家が一番

仕事柄、出張に良く出かけます。若い時は、知らない土地を見ることができて、それなりにうれしかったのですが。最近は、やはり自宅が一番です。
まず、お風呂。出張で泊まるホテルは、ほぼビジネスホテルです。就職して、ユニットバスを初めて見たときは、感激しました。「こんなに狭いところに詰め込んで。しかも機能的にできているのだ」と。日本人らしい発明だと思います。
でも、最近は、あの小さな湯船に足を折り曲げて入っては、「足を伸ばしたい」とぼやいています。そして、洗い場がないので、ゆったりと体を洗うことができません。ぜいたくですがね。お金を出せば、もっと大きな湯船のある部屋に、泊まることができるのでしょうが。
次に、ベッドとその周辺。私は、どこでもすぐに寝る特技を持っています。でも、いつも寝ている布団が良いです。時に柔らかすぎるベッドは困るし、大きな枕は外す必要があります。自宅では、真っ暗でも、どこに何があるかわかっているのですが、ホテルではそうもいきません。なお、必ずパジャマを持っていきます。
その他に、揺れるバスの中で弁当を食べる「危険性」と「技」については、先日書きました(2014年6月16日)。あれは、食事ではないですね。英語で言えば、dinerでなく、mealでしょう。流し込むといった感じです。そして、長時間、新幹線やバスに縛り付けられていると、運動不足になります。帰って体重計に乗ると、もれなく太っています(苦笑)。
原因の一つは、全く無駄のない行程表を作ってくれる職員にあります。移動と、視察や意見交換を、隙間なく詰め込んでくれます。その職人技には感心します。ありがたいのですが、余裕がないのです(これまた苦笑)。来週も、出張が予定されています。元気よく行きましょう。

日本の国際化

古くなりましたが、6月14日の日経新聞夕刊に、「世界の留学生400万人突破」という記事が載っていました。ユネスコの調べで、他国の高等教育機関で学ぶ留学生が、過去12年間で倍増したのだそうです。
出身国は中国の69万人、インドの19万人、韓国の12万人、ドイツの12万人、サウジアラビアの6万人と並んでいます。以下、フランス、アメリカ、マレーシア、ベトナム、イランで、日本は3万人で22位です。外国に行かないと高度な教育や研究ができない国々と、先進国だけどさらに外国で学ぶ人たちの国の、2つの場合があるのでしょう。
他方で、受け入れ国は、アメリカが74万人、イギリスが43万人、フランスが27万人、オーストラリアが25万人、ドイツが21万人です。以下、ロシア、日本(7位、15万人)、カナダ、中国、イタリア、インドです。これを見ると、受入れでは、日本も健闘しています。留学生受入れを一つの産業と見ても、また日本を理解してもらってファンを増やすためにも、日本の生活文化を世界に広めるためにも、もっと力を入れても良いですね。それだけ高等な教育水準にあるのですから。文科省では、戦略を立てています。
また、6月20日の日経新聞には、「外国人株主3割超」という記事も出ていました。東京証券取引所が発表した2013年度の株式分布調査によると、外国人の日本株の保有比率(金額)は、2014年3月末で30.8%で、初めて3割を超え、金融機関の26.7%を超えて「筆頭株主」になったのだそうです。諸外国の状況と比較しなければ、日本の国際度はわかりませんが、かなり国際的になっているのですね。
どちらの数字も、外国の人たちが日本を評価している指標です。

医者の数

日本に、お医者さんって、どれくらいいると思いますか。総人口は1億2千万人です。人口1万人に1人とすると、約1万人です。千人に1人だとすると、約12万人です。
実際は2010年の数値で、29万5千人、約30万人です。30年前、1980年は15万6千人ですから、約2倍になっています。
問題は、これだけ医者が増えているのに、過疎地では医者が足らないことです。都会にばかり集中します。子どもの教育などを考えて、地方には行きたがらないのだそうです。う~ん。