カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載「公共を創る」執筆状況

恒例の連載「公共を創る」の執筆状況報告です。
第151回から、結論部分に入っています。項目は粗々できているのですが、過去に書いた文章を読み返す必要があります。「どこに書いたっけ?」「このあたりだったよな」と探します。その過程で、「こんなことも書いたよな」という文章が発掘されたり。時間がかかり、締め切りとの競争になっています。

日常の用務があり、引き受けた講演の準備にも時間を取られ、まとまった時間を確保するのが難しいのです。『明るい公務員講座』にも書きましたが、毎日入ってくる雑務(予定表に書くほどでない作業)にも、時間を取られるのですよね。いつも同じことを言っています。
執筆がスイスイ進んでいるときは、こんなことは書かないのです。たいがい、構成に悩んでいるときです。

締め切りに追われ、進行形の作業を抱えるのは、精神衛生上よくありません。2回分(2週分)くらい「貯金」を持っておくと、余裕ができるのですが。
右筆の協力を得て、6月22日号までゲラになりました。ほっとして、この文章を書いています。
連載は、もう数回のうちに完結すると予想しています。

連載「公共を創る」第152回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第152回「試案-国家の役割と機能の分類」が、発行されました。

前回から、第4章3「政府の役割の再定義」に入り、政府の役割を整理しています。まず、2001年に実行された省庁改革の際に示された、国家機能の4分類と行政目的別の機能分類を説明しました。
今回は、私が試みに作った、国家の役割と機能の分類を示しました。前回の分類は国家から見た分類ですが、今回の分類は国民生活から見た分類です。

これらの分類に載せた行政分野は現在取り組まれているもので、それぞれに必要であることは確かです。が、私が問題にしているのは、政府と行政が取り組まなければならないものであるにもかかわらず、十分に対応されない重要課題は何か、それをどのように行政の課題として明確化し、どのような手法で対応するのが効果的か、ということです。
私たちが考えなければならないのは、この表に載っていない新しい課題は何かです。

連載「公共を創る」第151回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第151回「橋本行革における4分類」が、発行されました。
今回から、第4章3「政府の役割の再定義」に入ります。これまでの150回の議論を踏まえ、結論を導きます。活力と安心に満ちた社会を取り戻すためには、どうしたらよいのか。行政は何をなすべきか。
冒頭に、これまでの150回を、簡単に要約しました。

まずは、政府の役割を整理します。手始めに、2001年に実行された省庁改革の際に、橋本龍太郎首相が提案した国家機能の4分類と、それを基に藤田宙靖先生が整理された行政目的別の機能分類を説明します。

連載「公共を創る」目次6

目次5」から続く。「目次1」「目次2」「目次3「目次4」
全体の構成」「執筆の趣旨」『地方行政』「日誌のページへ

第4章 政府の役割再考
3 政府の役割の再定義
(1)社会の変化と行政の役割
5月25日 151政府の役割の再定義ー橋本行革における4分類
6月1日 152政府の役割の再定義ー試案─国家の役割と機能の分類
6月15日 153政府の役割の再定義ー課題の転換を迫る背景
6月22日 154政府の役割の再定義ー社会像と行政手法の転換
7月13日 155政府の役割の再定義ー「生活者省」設置の提言─「安全網」への転換を明確化
7月20日 156政府の役割の再定義ー福祉提供国家から安心保障国家へ
7月27日 157政府の役割の再定義ー官僚の役割─現状分析
8月3日 158政府の役割の再定義ー官僚の役割─行政改革の影響
8月17日 159政府の役割の再定義ー官僚の失敗─官僚機構の機能不全
8月24日 160政府の役割の再定義ー政策の失敗、政策転換の遅れ
9月7日 161政府の役割の再定義ー改革は「できるもの」─私の経験
9月21日 162政府の役割の再定義ーなぜ官僚は新しい仕事に取り組まないのか
9月28日 163政府の役割の再定義ー改革の仕組み方と官僚機構の転換方策
10月5日 164政府の役割の再定義ー公務員の「目標」
10月12日 165政府の役割の再定義ー組織の目標と幹部の役割
10月26日 166政府の役割の再定義ー組織の目標と評価ーそのあるべき姿を探る
11月2日 167政府の役割の再定義ー組織における評価のあり方
11月9日 168政府の役割の再定義ー日本の経済と働き方の特徴
11月16日 169政府の役割の再定義ー日本型の雇用・職場慣行がもたらした悪影響
目次7」へ続く

連載「公共を創る」第150回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第150回「現代日本の新しい対立軸」 が、発行されました。前回から、現代日本の、新しい対立軸を考えています。

私が考える第1の対立軸は「非正規格差」です。第2の対立軸は「保守と革新」です。といっても、かつてのような復古的な右翼と、革命を目指す左翼の対立ではありません。
かつての日本社会の安定と経済成長を支えた、日本的経営、労働慣行、「標準的家庭」、男女の偏った役割分担などを忘れられない人たち(保守)と、それを変えようとする人たち(革新)との違いです。

以上の二つの対立軸と交叉するのが、もう一つの軸である「排斥」と「包摂」、多様性を認めるか否かです。国民の中に多様性を認めるとともに、困難を抱えた人を包摂しようとする考え方と、少数者を排斥するないしは自己責任を求める考え方の対立です。

ここに挙げた3つの対立軸は、現在の日本社会に生まれている亀裂です。しかし、個々の問題は議論されていますが、まだ社会を分断する対立軸として認知され、克服のための進行方向が共有されていないようです。対立の両側が組織化されていないことと、それぞれの立場を代表する理論や進行方向(理想像)が示されていないせいでしょう。それを拾えていない政党政治にも、問題があります。

これで、第4章2(3)「社会をよくする手法」を終えて、次回から、3(1)「社会の変化と行政の役割」に入ります。(3)「社会をよくする手法」は、もっと簡単に終わると考えていたのですが、意外と長引きました。